Another side ページ8
んん、と首をひねってみせる。
女傭兵というだけでも珍しいが、それだけならこんなに驚きはしない。
今回募集されているのは『腕利き』の傭兵。そこにこの子が記されているのは何かの間違いなんか、それとも――。
「――オレ、この女知っとんで」
「え、」
すぅ、と書類を見つめるゾムの瞳が細められたのが分かった。
しかしそれも束の間、書類をこちらへ寄越し、颯爽と踵を返して窓へと足をかけるゾム。纏う空気が、さっきと全く異なっている。
「ぞ、」
「普通の女と一緒にしたらあかん。強い女や。多分、……いや少なくとも、」
どういうことや、とか、ドアから出ていけ、とか。言いたいことは沢山あったのに、何一つとして言葉にならなかった。
ぞくり、言いようのない感覚に襲われる。いつの間にかこっちを向いていたゾムは、ただ淡々と言葉を並べていく。
深淵から覗く翡翠の瞳に映っているのは、
「この机に散らばっとる傭兵共よりは。……その女のが、強い」
それだけを言い残して、ゾムはひらりと身体を宙に投げ出した。
――正直、戦慄した。
味方最大の脅威とも呼ばれる、あの男がここまで断言する実力者。
一体ゾムは、この女傭兵の何を知っているというのだろう。
かさりと手の中で音を立てる書類に目を落とす。
(嗚呼、これまた……)
唇が苦い形に変わっていくのが自分でも分かる。
仕事が増えてめんどいなぁって思い3割、面白くなりそうやわって思い7割、やな。
そんなことを思いながら、耳元のインカムへと手を当てる。
「――あ、ロボロ〜?ちょっとお願いしたいことがあるめう〜」
-氷が溶ける音がした-
*
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ゆう - 返信ありがとうございます!そうなんですね!なんかかっこいい…!! (2020年2月10日 7時) (レス) id: 9aa71b1239 (このIDを非表示/違反報告)
悠栞@ゼリー(プロフ) - ゆうさん» 一応「見つけてこい」と「貴方がそれを望むなら」的なことを直訳で言ってもらってます…!翻訳アプリ頼りなので文法的な間違いはおそらくあるかと思われます。゚(゚´▽`゚)゚。 (2020年2月9日 22時) (レス) id: 998f9539b4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 小さなお返しの最後の方のロシア語って[...夕食でまた]とかの夕食でまたのところを言っているんですか?((伝わらなかったらすみません (2020年2月9日 22時) (レス) id: 9aa71b1239 (このIDを非表示/違反報告)
悠栞@ゼリー(プロフ) - リズム天国さん» ご返信遅くなり大変申し訳ないです……!ありがとうございます! (2019年6月8日 9時) (レス) id: 5f4004635c (このIDを非表示/違反報告)
リズム天国 - 面白い (2019年4月8日 23時) (レス) id: 1e030985a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:悠栞@ゼリー | 作成日時:2018年1月14日 1時