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守る、護る ページ36

指折り数えながらううむ、と考え込む閣下が、何か閃いたように瞳を見開く。そして次の瞬間美しい金糸を揺らして、笑った。




「――お前自身の、居場所を。なりふり構わず、守ってみせるがいい」




どうだ?と自信ありげに首を傾げてみせる彼に、呆然としたまま笑みを返す。

――嗚呼、本当にこの方は。


「……道まで示して頂けるなんて、恐縮です」


「当然だ。逃がしてやるつもりはないからな」


手に入れるまであの手この手で勧誘するんだゾ、と物騒なことを言いながら満足げに胸を逸らす。
まるで子供のようにそんな仕草をされるものだから――意固地になっているこちらの方が、馬鹿らしくなってしまった。

なんだ、怖がっていたのは――私だけか。


「……答えは、出たか」


やれやれと頬杖をつき、瞳を細める閣下。疑問符の付けられていない問いを、勝利を確信した柘榴の輝きと共に受け取る。

すぐには答えなかった。
その代わりに、入ってきた時と同じ作法で閣下の目の前に膝をつく。数時間前にあれほど緊張していたのが嘘みたいに、心は凪のように穏やかだ。


(――大事なことを、忘れていた気がする)


何もかも失ったあの時に、守れるものはなくなったのだと思った。もう二度と、心から守りたいと思うことは出来ないのだと。

でも今私の胸にあるこの気持ちは、紛れもなく失ったはずのその想いだ。

これが、以前の想いに匹敵しているかは分からない。永遠にそう思えるかも分からない。

それでも。それでもまだ、私の力で大切なものを守れるのだというのなら。


「――ハイル・グルッペン。今この瞬間から、私は貴方のものに」


ならば、私はこの人に着いていこう。

守ろう、護ろう。この国の矜持を。


「茨の道を血塗れになってかき分けていただいたのに、背を向けるほど冷血漢ではないつもりです。……返品はできませんが、よろしいですね?」


そう言って顔を上げて、とびきりの笑顔で微笑んでみせれば、机上から白い手袋をはめた手のひらが差し出される。




「ようこそ、A。我々国へ」





-私の命は、この国のために-



*

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ゆう - 返信ありがとうございます!そうなんですね!なんかかっこいい…!! (2020年2月10日 7時) (レス) id: 9aa71b1239 (このIDを非表示/違反報告)
悠栞@ゼリー(プロフ) - ゆうさん» 一応「見つけてこい」と「貴方がそれを望むなら」的なことを直訳で言ってもらってます…!翻訳アプリ頼りなので文法的な間違いはおそらくあるかと思われます。゚(゚´▽`゚)゚。 (2020年2月9日 22時) (レス) id: 998f9539b4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 小さなお返しの最後の方のロシア語って[...夕食でまた]とかの夕食でまたのところを言っているんですか?((伝わらなかったらすみません (2020年2月9日 22時) (レス) id: 9aa71b1239 (このIDを非表示/違反報告)
悠栞@ゼリー(プロフ) - リズム天国さん» ご返信遅くなり大変申し訳ないです……!ありがとうございます! (2019年6月8日 9時) (レス) id: 5f4004635c (このIDを非表示/違反報告)
リズム天国 - 面白い (2019年4月8日 23時) (レス) id: 1e030985a7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:悠栞@ゼリー | 作成日時:2018年1月14日 1時

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