Another Side ページ20
(……驚いたなぁ)
真っ直ぐと、こちらを怯むほどに見据えてきた彼女に、少しばかりの驚きが芽生える。
大抵の傭兵はここで視線を落とし押し黙るか、目線をさまよわせ虚言を吐くかのどちらかだったのに。
(ゾムが言いよったのは、こういうことか)
強いというのは、何も戦闘に限ってという訳では無いようだ。
自分の意思をしっかりと持つ、人としても強い女性。今までの傭兵とは根本から違う。
(俺としては、この時点で合格なんやけど)
耳元のインカムに意識をやると、まだ『合図』はない。ということは、まだ『彼』は満足していないということか。
「……貴女にとっての、意味のある無いの境目とは？」
つまり、もう少し深くまで、ってことやな。
そう重ねて問いかければ、彼女は考え込むように視線を落とし――次の瞬間には、またしっかりと前を向いた。
「守りたいものの有無、でしょうか」
「守りたいもの、ですか」
「はい。……別に、大きいものである必要はありません。生きている者である必要も。自分の自尊心とか、そういうレベルでいいんです。戦争の大きさに比例する必要も、全くありません」
ただ、とその視線が曇る。
「……暇つぶしや、ただの人間のエゴで戦争が起こることが、許せないのです」
膝に置かれた彼女の拳が、白くなる程握られているのが遠目からでもわかった。
「私の生まれた国は、小さな国でした」
ぽつり、語られ始めた彼女の過去に、耳を傾ける。
「家族は両親と私の３人。栄えた国ではありませんでしたが、いい国でした。平和な日々が、ずっと続くのだと信じていました――隣国の王が、新しい砲台の試し打ちなどという理由で、私達の国を襲うまでは」
「――っ！」
ぎり、と彼女が自分の腕を握りしめる。まるで、自分自身を痛めつけるかのように。
「砲撃と共に兵士も国へ襲ってきました。私が覚えているのは、私と母を背に庇う父の姿と、私の代わりに囮となり兵士の前に飛び出して行った母の姿のみです」
「……Aさん」
「私は両親のおかげで、逃げ切ることが出来ました。それから傭兵になり、１人でも生きていけるように訓練を積みました。無意味に私達の国を奪った隣国にも、傭兵になってすぐに復讐を終えています」
どこか儚げな笑みと共に、彼女が言の葉を紡ぎ続ける。
*
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ゆう - 返信ありがとうございます！そうなんですね！なんかかっこいい…！！ (2020年2月10日 7時) (
レス) id: 9aa71b1239 (このIDを非表示/違反報告)
悠栞@ゼリー(プロフ) - ゆうさん» 一応「見つけてこい」と「貴方がそれを望むなら」的なことを直訳で言ってもらってます…！翻訳アプリ頼りなので文法的な間違いはおそらくあるかと思われます｡ﾟ(ﾟ´▽`ﾟ)ﾟ｡ (2020年2月9日 22時) (レス) id: 998f9539b4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 小さなお返しの最後の方のロシア語って[...夕食でまた]とかの夕食でまたのところを言っているんですか？((伝わらなかったらすみません (2020年2月9日 22時) (レス) id: 9aa71b1239 (このIDを非表示/違反報告)
悠栞@ゼリー(プロフ) - リズム天国さん» ご返信遅くなり大変申し訳ないです……！ありがとうございます！ (2019年6月8日 9時) (レス) id: 5f4004635c (このIDを非表示/違反報告)
リズム天国 - 面白い (2019年4月8日 23時) (レス) id: 1e030985a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悠栞@ゼリー | 作成日時：2018年1月14日 1時
