身支度 ページ46
ぱちん、ぱちんと上着のボタンを外す音だけが響く。ゾムさんに抱えられて運ばれてきたのは、武器やら防具やらが乱雑に置かれている用具室みたいな所だった。
『ここにあるもんは好きに使うてええから。外で待っとるから準備出来たら出てきてや〜』
そう言ってひらりと手を振って見せた緑。
(……気が重い)
ばさ、と上着を脱ぎ捨てながらため息を押し出す。傭兵として雇われたからにはもちろん戦うつもりであったけれど、まさかこんなに早く機会があるだなんて。しかも敵とではなく味方と。
(……腹くくるか)
別に本気の殺し合いではないのだから気楽に、気楽、に、きら、くに………………ダメだな考えるのはやめようさっさと準備してしまおう。
その辺にあったカーキの上着に袖を通し、黒い手袋をはめた。軽くストレッチをしたり、ぐっぱぐっぱと手をにぎにぎして感触を馴染ませる。うんうん動ける動ける。
ずらりと並ぶ武器に迷いなく手を伸ばし、剣１本と拳銃を１丁掴み取る。それぞれを腰と太もものホルスターにセット。仕上げに髪を結い上げる。
「………よし」
傭兵のA、出来上がり。……なーんて。
ゆるりと首を振れば揺れる髪束。幾度も切ってしまおうかと考えたそれは、結局いつも変わらずこの背で揺れている。
かたん、と微かな音が外から聞こえた。唐突なそれに肩を跳ねさせながら、ゆっくりと扉へ近づく。
「……ゾムさん？」
「なぁ、まだかかるん？」
もう待ちくたびれたんやけどー、とふてくされたような声が聞こえてきた。
もうすっかり準備は出来ているからすぐにでも出ることは出来る。………けど。
「………女の準備は時間がかかるものですよ」
「えぇ〜………」
今からとんでもない無茶振りに応えるのだから、少しくらい意地の悪いことをしたってバチは当たらないはずだ。
気落ちした声にほくそ笑みながら、そっと髪を結い直した。
-前哨戦は、私の勝ち-
*
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ゆう - 返信ありがとうございます！そうなんですね！なんかかっこいい…！！ (2020年2月10日 7時) (
レス) id: 9aa71b1239 (このIDを非表示/違反報告)
悠栞@ゼリー(プロフ) - ゆうさん» 一応「見つけてこい」と「貴方がそれを望むなら」的なことを直訳で言ってもらってます…！翻訳アプリ頼りなので文法的な間違いはおそらくあるかと思われます｡ﾟ(ﾟ´▽`ﾟ)ﾟ｡ (2020年2月9日 22時) (レス) id: 998f9539b4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 小さなお返しの最後の方のロシア語って[...夕食でまた]とかの夕食でまたのところを言っているんですか？((伝わらなかったらすみません (2020年2月9日 22時) (レス) id: 9aa71b1239 (このIDを非表示/違反報告)
悠栞@ゼリー(プロフ) - リズム天国さん» ご返信遅くなり大変申し訳ないです……！ありがとうございます！ (2019年6月8日 9時) (レス) id: 5f4004635c (このIDを非表示/違反報告)
リズム天国 - 面白い (2019年4月8日 23時) (レス) id: 1e030985a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悠栞@ゼリー | 作成日時：2018年1月14日 1時
