二百五十九話 砕け散りし海辺に ページ13
「済みません!
先刻そこで武器を持った人達に襲われて……」
怪我をした敦は、わざと鏡花に肩を借りて警察に声をかける。
警察の青年は敦達を見つけると、慌てた様子で駆け寄ってきた。
「何だって___
大丈夫かい?非道い怪我じゃないか!
警部」
「あぁ。
裏社会の抗争かも知れん。暫く前から横浜は何うも訝しい。
海外船の爆破、逃亡中の少女殺人犯……。上の指揮系統も乱れが在る。
何が起こってる?
!」
老年の警察官がそう言った時、丁度老年警察官の持っている無線機からザーザーという砂嵐の音が成り始める。
老年警察官は、直ぐにそれに反応し、返答した。
「こちらゼロナナ、本部どうぞ」
その近くのベンチに座っていたフィッツジェラルドは、先刻渡された作戦書をかざし、眺めながらつぶやいた。
「オルコット君の作戦書は相変わらず完璧だな」
その呟きは、誰にも拾われる事なく空気に消えていく。
本部からの連絡はこうだった。
“至急、至急、本部よりゼロナナ。
手配中の連続殺人犯がその近辺を逃亡中との情報あり。
年齢は十四。和装で身長五尺足らずの少女。
繰り返す______”
その情報を聞いた老年の警察官は、目の前にいる鏡花を見つめると、尋ねた。
「お嬢ちゃん……、
しかし鏡花は答えない。
その反応から、鏡花が殺人犯であると感じた老年警察官は、報告しようとした。
「………本部、こちら____」
そして鏡花から見えないように、拳銃に手を伸ばす。
しかし、警察官の手が拳銃に触れるより前に、鏡花は老年警察官の右肩口を短刀で斬りつけた。
「警部っ!?」
若い警察官が慌てて拳銃を取り出そうとするが、それよりも早く、鏡花は再び飛び上がる。
しかし、鏡花が若い警察官に斬りつける前に、敦が飛び出し、鏡花を抱えて警察官たちから距離をとった。
そして、鏡花に叫ぶ。
「何てことするんだ!!」
敦の珍しい怒鳴り声に、鏡花は目を丸くする。
若い警察官は、重傷を負った老年警察官を抱き起していた。
「警部、警部!」
「う………」
敦はその様子を見て、鏡花の手を引きながら逃げるように走り出す。
「く………!」
「!」
それに気づいた若い警察官は、無線機で本部に連絡した。
「本部!殺人犯と接触し警部が負傷!被疑者は逃亡、至急菅機の応援を!」
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??(???)??(プロフ) - 神作品すぎてここまで読んでしまった……夢主ちゃんどうなっちゃうの!?長生きして欲しい……これからも作者様のペースでよろしくお願いします! (1月9日 21時) (レス) @page23 id: 71a0ede70a (このIDを非表示/違反報告)
花見月 - いつも楽しく読ませてもらっています。アンケートですが、1でお願い致します。 (2021年9月24日 0時) (レス) @page5 id: 216d69af47 (このIDを非表示/違反報告)
びっくりさん(プロフ) - 1がいいです。 (2021年9月22日 21時) (レス) @page5 id: d067fbdc83 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 1が良いです。 (2021年9月22日 18時) (レス) @page5 id: 3b590f766f (このIDを非表示/違反報告)
ヒナ(プロフ) - 個人的には1が良いです。 (2021年9月22日 1時) (レス) @page5 id: 91a3e851e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ark | 作成日時:2021年9月12日 7時