46話 ページ47
俺がそう聞くと、慌てたように手を胸の前で降って否定する。
ヒースクリフ「ああ、違います!
時間が止まることをイメージして、動きを止めていただけです」
眉を下げて、ヒースクリフは笑った。
ヒースクリフ「時間が戻せたら、いいですよね。俺は思い切りが悪いから、やり直したいことが一杯あります」
それは俺もおんなじだ。
俺だったら、優を助けて、マフィアをでて、普通に人生を送りたい。
人らしい感想に、俺は親しみを覚えた。
魔法なんて最初は驚いたが、やっぱりみんな、気持ちは人間と同じなんだろう。
ヒースクリフ「……よし、完成です。みんなのところに運びますね」
晶「あ」
ヒースクリフ「どうかしましたか?」
晶「……いや」
話に夢中になりすぎて、朝食を作っていたことを完璧に忘れていた。
ヒースクリフに一人でさせて、俺は結局何もやらなかったわけだ。
俺が作ると名乗り出たのに、それは流石によくない。
そう考えた俺は、ヒースクリフの手から、なるべく強引にならないように皿を取った。
晶「結局全部やってもらっちまったし、運ぶくらいなら俺にもできる。
仕事させてくれ」
ヒースクリフ「そんな!いいですよ!」
晶「俺の気がすまねえだけだ。させてくれや」
ヒースクリフ「……まぁ、賢者様がそこまでいうなら……」
眉を下げて、渋々承諾するヒースクリフ。
俺は柄にもなく優しい笑顔を浮かべていた気がする。
晶「ありがとな」
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作者名:ark | 作成日時:2021年8月14日 14時