４０話 ページ41
ホワイト「＜大いなる厄災＞の姿が、見えなくなってからの方が良いからのう」
晶「なるほどな」
薄っすらと、白く浮かんでる月を見上げながら、スノウとホワイトが言う。
シャイロックは俺に微笑みかけた。
シャイロック「それまでは、ごゆっくりなさって。まずは朝食にしましょう。
カイン、ヒースクリフを起こしてきてください。魔女たちや南の魔法使いたちが、石になってしまったので、朝食を作るものがいないんです」
カイン「あいつ、作れるのか？貴族の坊ちゃんだぞ？」
シャイロック「手先の器用な子だったでしょう。彼じゃなきゃ、誰が作るんです？」
そういうと、カインは不思議そうな顔でシャイロックを見つめた。
カイン「あんたは？酒場をやってるんだろ？
前に作ってくれた軽食はうまかった」
シャイロック「朝から他人に奉仕したくありません」
なんとも自分本位な言葉。
その一言が、十二分にシャイロックの性格を表しているように思えた。
カイン「なら、俺が作るよ。ぶっこんで煮ればいいんだろ」
晶「はぁ、俺で良ければ作るが、どうする？」
カインにだけは料理させてはいけない。
そう悟った俺が立候補すると、意外にもムルが食いついてきた。
ムル「本当？おじやは作れる？」
晶「は？……まあ、作れるが、おじや知ってんのか？」
カイン「賢者様、わかりにくいけどちょっと喜んでるな」
シャイロック「そう言えば、前の賢者様も、人が環境に順応するためには美味しいご飯が絶対必要だと言っていましたね。
なら、お任せします。キッチンにご案内しますよ」
晶「ああ、頼む」
そうしてシャイロックにキッチンまで案内されて、俺は衝撃を受けた。
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作者名：ark | 作成日時：2021年8月14日 14時
