４話 ページ5
もし本当に、これが現実だとしたら、俺はどうするべきなのか。
明らかに、今までとは全く違う世界だ。
夢か妄想であれと、そう願うが、現実味を帯びすぎてる。
ドラモンド「ご心配なく！危ないことはありません！戦うのは魔法使いどもです！」
晶「魔法使い？」
さっき、ムルの口からも出てきたその単語。
魔法なんて、実在するはずがねえのに。
ドラモンド「ええ。ですが、こいつらがまあ、猫のように言うことを聞かない連中でして。
何故か、決まって昔から、異界からやってきた賢者の言うことしか聞かないんですよ」
俺が反芻した言葉に、そう説明したドラモンド。
そこに、一人の兵隊が駆け寄った。
兵隊「ドラモンド様！ご報告が……」
ドラモンド「なに！？魔法使いどもが！？
まずいぞ。あいつらがやってくる前に、急いで賢者を丸めこ……。
ごほん！賢者様と親しくならないと！賢者様、中央の国の城へ急ぎましょう！」
俺は殺し屋をしていた、だからか知らねえが、五感が鋭い。
もちろん、さっきのドラモンドの言葉も、鮮明に聞こえた。
俺は、誰かに縛られんのは嫌いだ。
晶「今、俺を丸めこむっつったか？」
俺がそう凄むと、兵隊達が脅しをかけるように、周りを取り囲んだ。
だが、殺す気のない脅しなんて、何も怖くねえ。
俺は普通に、そこに突っ立っていた。
ドラモンド「力づくでも来ていただきますぞ！おまえたち！」
晶「はあ……」
めんどくせえ。
兵隊たちは、俺への威嚇が聞いてないことを察したのか、剣を抜き始めていた。
クックロビン「ドラモンド様、やりすぎじゃ……」
ドラモンド「うるさい！悪いのは魔法使いどもだ！」
少し離れたところからそんな会話が聞こえる。
銀色の剣が、物騒にぎらぎらと、俺に迫ってきていた。
その剣が本物であることがわかると、余計にこの世界が異世界で、現実である可能性が上がる。
くそっ、いっそ刺されて見れば、夢か現実かはっきりすんのにな。
なんて考えていると、窓の向こうの空から、近づいてくる影が見えた。
箒にまたがって空を飛ぶ、二人の青年。
[マジで異世界か？]
その線がどんどん濃厚になっていく。
飛んでくる二人の青年を眺めながら、考え込んでいると、
そいつらは窓をすり抜けて、俺の目の前に、ふわりと降り立った。
本物の風を巻き上げながら。
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作者名：ark | 作成日時：2021年8月14日 14時
