38話 ページ39
月が接近して来たんだから、相応な規模の被害が出てるだろう。
となると、恐らくだが帰るのは当分後になりそうだ。
まあ、仕方ねえか。
晶「わかった。大変な時に悪かったな」
カイン「何を言ってる。あんたが大変な時に、こっちがわがままを言ってるんだ。
出来れば、この世界や俺たちを気に入って欲しいが、大事な家族の安全を確かめることの方が大事だろう」
晶「ああ、悪いな。
ま、戻れるのは当分後になりそうだし、何か俺に出来ることがあれば言ってくれ。賢者としてこの世界に呼ばれた以上、仕事はする」
カイン「いいのか?」
晶「元の世界に行けるまで働かずにダラダラするわけにもいかねえだろ。掃除でもなんでもやってやるよ」
現に俺はマフィア時代、殺しに夫婦喧嘩の仲裁に、不発弾の除去に、邪魔な組織の片付け、上司の執務室の掃除までありとあらゆることをさせられてきた。
できねえことはねえ。
しかしカインは、そういうのはいいと首を横に振った。
カイン「そんなのは俺たちがやる。新しい魔法使いを召喚して欲しいいんだ」
晶「新しい魔法使い?」
カイン「ああ。半分になっちまったと言っただろ?
賢者の魔法使いは、本来20人いる。欠員が出た時は、賢者にしか召喚出来ないんだ。
良ければ、あんたに頼めるか?」
カインの真剣な表情に、俺は迷わず頷いた。
晶「俺にできることがあるなら、いくらでもやってやる」
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作者名:ark | 作成日時:2021年8月14日 14時