闇ヨリ来タル賢ナル者 (ページ34)

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３３話　腹心の企みページ34

一夜明け、夢から醒めた。

夢から覚めたら、元の世界に戻ってたって夢を見ていたから、ちょっとばかり期待していたが、どうやら、現実はそう簡単には変わらねえらしい。

ま、知らねえ世界に来たとはいえ、自分の身は守れるし、一緒にいる奴らが悪い奴らではなさそうなのが、せめてもの救いだろう。

窓を開けると、鳥の鳴き声に、朝露の匂い。

どこからか、水のせせらぎも聞こえる。

風が連れてくる花の匂いに、思わず深呼吸する。

だがすぐに、俺に花とか似合わなすぎて、ちょっと笑ってしまった。

すっきりと、すがすがしい目覚めだ。

みずみずしい自然に包まれていると、それだけで、気分が良くなった。

慌ただしくねえ朝なんて、というか、くつろげる部屋で迎える朝なんて、いつぶりだろうな。

抜けるような青い空も、いつもと違って苦痛には感じなかった。

空をじっと見ていると、白い、大きな月に目がいく。

風情とか気にしねえ俺でも、ゆっくりできるとそういうのに目が向くらしい。

面白えもんだと考えていると、コンコンと二、三度扉をノックする音が聞こえた。

ついで、カインの声も聞こえてくる。

カイン「おはようございます、賢者様」

晶「おう、ちょっと待て」

俺はそう短く返事を返すと、扉の方へ向かった。