闇ヨリ来タル賢ナル者 (ページ30)

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２９話ページ30

ホワイト「我らは双子じゃ。孤独をよく知らん。
じゃが、互いを失った時に初めて知った」

晶「……互いを失った時？」

スノウ「ホワイトが死んでしもうたのじゃ。ホワイトは生きてはおらん。幽霊じゃ」

驚いて、俺はホワイトを見つめた。

ホワイトは変わらず笑っている。

さっきだって、俺の頭を撫でていた。

感触は確かにあった。

なのに………。

ホワイト「そうじゃ。我は生きておらん。
スノウが魂を繋ぎ止めて、残像をたもっておるだけじゃ」

スノウ「そのくらい、一人は耐えられんかった。
そなたはえらいのう。ひとりぼっちでも、誰も傷つけん」

ホワイト「寂しいじゃろうに、ファウストを助けてくれた。改めて、礼を言うぞ」

俺は、口を引き結んだ。

帰れないならしょうがねえ。

いくら悩んでも、心配しても、何も変わりゃしねえんだ。

猫たちが、生き延びてくれることを信じて、やるしかねえ。

家族なんだ、信じてやるべきだろ。

立ち止まって悩んでるなんて俺らしくもねえ。

突き進めるだけ突き進んで、行き止まりになったらその時考えりゃいい話だ。

今やるべきは、心配して立ち止まることじゃねえ。

帰りてえなら、自分で書物荒らしまくって探しゃいいしな。

そう考えると、随分と頭がスッキリした。

さっきまで悩んでたことが、馬鹿らしくなる。

知らねえ世界で、俺も困惑してたんだろ。

やっと調子を取り戻せた俺は、一度閉じた本をもう一度開いて、続きを読み進めた。