18話 ページ19
未だに信じきれないこの光景に呆然としている中、後ろから少し焦ったようなカインの声が聴こえてきた。
カイン「…………!
気をつけろ!《花かけらの波》だ!」
その言葉を聞いて顔を上げると、宝石のようにきらきらした花びらが、夜空を覆うように舞っている。
ピンクの光を纏うその花びらの波は、とても綺麗だった。
ヒースクリフ「夜空一面に、高波みたいな花びらの群れが……。
これが世界を修復する時にあらわれる、《花かけらの波》!?これ、避けたほうがいいの……!?」
ムル「突っ込もう!だって、触ってみたいよね、賢者様!」
晶「あれ触れンのか!?」
カイン「待て待て待て!」
シャイロック「こら、ムル」
後ろからカインとシャイロックが止めるが、俺の反応を是と捉えたらしいムルは、止まることなく《花かけらの波》に突っ込んだ。
ムル「大丈夫!ほら!手を伸ばして!」
晶「……!」
目の前に押し寄せてくる、虹みてえに七色に輝く、花びらの波。
少し緊張しながら、手を伸ばした。
ふわりと指先に触れた瞬間、きらきら砕けて、魔法の粉のように散っていく。
晶「!」
ヒースクリフ「……きれい……」
シャイロック「みなさん、無事ですか?」
カイン「ああ。すごい光景だな……」
全員がその美しさに息を呑み、簡単の声を漏らす中、ムルだけは楽しそうに笑った。
ムル「あはは!ほら、触れてよかっただろ?
人生は旅さ!二度と出会えない素敵なものに、あふれてる」
銀河に抱かれて踊るように、無数の光をまとって、魔法使いたちは笑い声を響かせる。
目的地へと、空を飛んでいった。
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作者名:ark | 作成日時:2021年8月14日 14時