11話 誰のため ページ12
カインの言葉で、俺はなんとなく、今のこいつらの気持ちがわかった気がした。
味方の少ない状況で、どうしても力を借りなきゃならねえ。
ここで俺が、どちらにつくか。
それが、こいつらにとって、運命を分けるような大事なんだろう、と、なんとなく、理解した。
焦っているだろう。
にも関わらず、俺の迷いに機敏に反応して、時間のない中、説明してくれた。
真剣さや誠実さは、言葉や眼差しから、力強く伝わってくる。
だんだん現実味を帯びてきた状況で、俺の本能が、こいつらを選べと、そう言っている気がする。
カインの言葉に、耳を傾けずにはいられなかった。
晶「……力を貸すっつっても、具体的に何をすりゃいい?」
ヒースクリフ「先生を……、ファウスト先生を助けて欲しいんです」
晶「ファウスト先生……?」
カイン「俺たちの仲間だ。死にかけてる。
あんたがいれば助けられるかもしれない」
晶「なんでそんなことになったんだ?」
シャイロック「仲間を庇って、深手を負ったんです」
ヒースクリフ「……ファウスト先生は、俺がお世話になった先生なんです……。
先生がいなかったら、俺だって死んでた……」
死にかけた仲間……。
その言葉に、以前の出来事を思い出した。
もう随分と昔のことなのに、脳に焼き付いて離れない。
今でも鮮明に思い出す、あの日の記憶……。
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作者名:ark | 作成日時:2021年8月14日 14時