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百五十五話 彼女には向かない職業 ページ7

首領(ボス)直轄の遊撃隊である芥川君と貴女は、我ら武闘派組を直に動かす権限がある、いわば上司だ。
だが我らを傅かせるのは権限ではない。芥川君の持つ力への畏怖と崇敬だ。樋口君、芥川君の動けぬ今、貴女に我らが従いたいと思わせる何かが有るか?」




寝台の上で根撃っている芥川の横に座った樋口は、先ほど言われた一つの言葉について考えていた。

その表情は今にも泣きそうで、樋口は潤んだその瞳で、芥川を見つめる。


力の抜けた芥川の手を、樋口はそっと握ろうとした。

しかし次の瞬間、過去に芥川に言われた言葉が頭をよぎり、樋口の手は空を切る。



_________________


「お前の扶けなど要らぬ」

_________________




行き場を無くした手を、樋口は泣き出しそうになる自分の顔に押し当てた。



そして、思い出されるのはあの(・・)時のこと。




___________________


あれはある日の任務のこと。

敵対者を滅する為、一度だけ芥川が単独で屋舎に入ったことがあった。


ボロボロに破壊された屋舎から出てきた芥川に、樋口は声をかける。




「芥川先輩!
幾ら先輩でも自 殺行為です!敵対者を滅する為とはいえ、警備員が詰める屋舎に正面から乗り込むなど……。しかも我々部下への援護指示もなく!」




そう言いながら手を掴もうとした。

しかし、芥川はその手を払う。




「五月蝿い」

「しかし!」




心配していた。


そんな気持ちで反論しようとする樋口を、芥川は睨んだ。




「お前に何が判る」




完璧なまでの拒絶に、樋口は言葉をなくす。


その直後、さっきまで歩いていたすぐ後ろにある建物が爆発した。

咄嗟に樋口は、芥川を守るように腕を広げる姿勢を取る。


その後ろで、芥川はポツリと呟いた。




「……狼煙だ。この街の何処からでも見える狼煙。僕の力を認めぬまま触れも断りも無く消えた彼の人の目に、否応なく届く太い狼煙」




じっと爆発で上がった炎を眺めながらそういう芥川。

いつにも増して、さらに虚空を映すようなその瞳に、樋口は負けじと叫ぶ。




「ですが、先輩を扶けるのが私の仕事です!」


「お前の扶けなど要らぬ。誰の扶けも」




そう言い返し、高い目線から睨む芥川に、その言葉に、樋口は酷く絶望したのだ。



_____________________

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ark(プロフ) - 瑞樹さん» そう言って貰えて嬉しいです!これからも頑張ります! (2021年4月18日 23時) (レス) id: 875b3ab9f7 (このIDを非表示/違反報告)
瑞樹(プロフ) - 設定も話もめっちゃ好きです!!これからも頑張ってください! (2021年4月18日 22時) (レス) id: 704267e73b (このIDを非表示/違反報告)
ark(プロフ) - 麗さん» 指摘ありがとうございます (2021年4月7日 9時) (レス) id: 875b3ab9f7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 3ページ 名前変換出来ていないところあります (2021年4月7日 9時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ark | 作成日時:2021年4月5日 10時

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