百八十八話 花と紅葉、雪と金色 ページ40
一瞬にして夜叉に間を詰められた敦は、柱まで吹き飛ばされる。
「がはっ…」
『敦くん！』
敦のぶつかった柱にはひびが入った。
夜叉はその後も休む暇なく詰め寄り、敦の腹を長い大きな刀で指し貫く。
敦を刺したその刀は、敦のぶつかった柱をも突き抜けた。
「＿＿＿＿＿＿！」
紅葉は敦を壁に貼り付けたまま近寄り、敦の顎をガッと持ち上げる。
そして不気味に笑いながら言った。
「悪いのう童。これも仕事でな」
「やめて！」
紅葉の言葉に、鏡花がそう叫ぶ。
顔を青くした鏡花を振り返った紅葉は、すぐさま敦の顎から手を離して、鏡花に笑いかけた。
「嗚呼、その表情！愛いのう。何でも聞いて遣りたくなる。
しかし済まんの、鴎外殿の命は、
「！」
「小僧だけではない。首領は探偵社員悉くの鏖殺を所望じゃ。戦争じゃよ。既に全幹部が動き出しておる」
『戦争……』
紅葉の言葉にAが反応する。
少し前、敦が初めて芥川と相対した時の帰り、太宰に聞かれたことが起きようとしていることを、A自身の頭で理解したのだった。
「しかし私はそなたの助命を嘆願し、特別に赦された」
『……ねぇ、姐さん。
その鏖殺は、私も含まれてるのかな？』
「A……」
「(Aちゃんのことを知ってる！？Aちゃんも、敵のことを姐さんって…)」
紅葉の言葉に、Aが質問する。
紅葉がAを知っていること、Aが敵を親しげに呼んでいる事で、敦の頭はもはや少し回らなくなってきていた。
「今まで口を挟まなかったのは、探偵社では前職の話をしていないからでは無いのかえ？A。
私も気をつけてやっておったと云うのに」
『ごめんね、姐さんの言う通りだよ。
敦くんにも、他の社員にも、そのうち話すから大丈夫』
「……そうか、では答えよう。
鴎外殿の命は、正しくはこうじゃ。
[人虎及び探偵社の社員の悉くを鏖殺せよ。
その際、福沢Aは絶対に殺さず、見つけ次第保護すること。
泉鏡花に関しては、尾崎幹部の判断に任せる]
とな」
『そっか。教えてくれてありがとう姐さん』
「構わぬよ。その代わり、私と同行してもらうがのう」
その会話で敦は何かを察したらしい。
Aを不安そうに見つめていた。
Aもそんな敦の視線に気づき、ふっと笑いかける。
敦はそれを見ると、少しだけ不安さの無くなった目で頷いた。
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ark(プロフ) - 瑞樹さん» そう言って貰えて嬉しいです！これからも頑張ります！ (2021年4月18日 23時) (
レス) id: 875b3ab9f7 (このIDを非表示/違反報告)
瑞樹(プロフ) - 設定も話もめっちゃ好きです！！これからも頑張ってください！ (2021年4月18日 22時) (レス) id: 704267e73b (このIDを非表示/違反報告)
ark(プロフ) - 麗さん» 指摘ありがとうございます (2021年4月7日 9時) (レス) id: 875b3ab9f7 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 3ページ 名前変換出来ていないところあります (2021年4月7日 9時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ark | 作成日時：2021年4月5日 10時
