六十四話 Murder on D Street ページ15
「拳銃貸して」
そう言って手を杉本巡査に向ける乱歩。
乱歩の言葉に、杉本巡査はありえない、という顔をした。
「ば、莫迦云わないで下さい。一般人に官給の拳銃を渡したりしたら、減俸じゃ済みませんよ！」
「その通りだ。何を言い出すかと思えば……探偵って奴は口先だけの阿呆なのか？」
先程まで黙り込んでいた箕浦も、杉本の言葉に続く。
Aはまたもイラッとしたが、敦をこれ以上怖がらせないように、表情に出さなかった。
一方で乱歩は、莫迦にされたことにさほど怒ってはおらず、むしろ余裕の表情を見せていた。
「その銃を調べて何も出なければ、僕は口先だけの阿呆ってことになる」
「……ふん、貴様の舌先三寸はもう沢山だ」
そう言った箕浦。
先程からの乱歩の様子が気に入らなかったのだろう。
箕浦は、さっさと恥をかかせてしまおうとでも云うように、杉本に指示を出した。
「杉本、見せてやれ」
「え？で、ですが」
上司のそんな様子に、杉本は混乱したようにそう返す。
その様子はどこか、焦っているようにも見えた。
「ここまで吠えたんだ。納得すれば大人しく帰るだろう。これ以上時間を無駄にはできん。銃を渡してやれ」
「…………」
「おい、どうした」
箕浦は、反応のなくなった部下に、そう声をかける。
そんな二人の様子に、Aと乱歩は口をひらいた。
『いくらこの街でも、素人が銃弾を補充するのは容易じゃありません』
「官給品の銃であれば尚更」
「………ッ」
「何を……黙っている杉本」
Aと乱歩の言葉、そして肯定するかのような杉本の様子に、箕浦は嫌な予感を感じ、杉本に声をかける。
箕浦のその質問は、乱歩が代わりに答えた。
「彼は考えている最中だよ。
減った三発分の銃弾についてどう言い訳するかをね」
図星だったのだろうか、杉本は絶望したような暗い表情で黙り込んだままだった。
「オイ杉本！お前が犯人の筈がない。だから早く銃を渡せ！」
箕浦はこのままでは自身の嫌な予感が当たる気がして、杉本を急かす。
箕浦は部下の死に加え、このままでは部下が起訴されるのだから。
しかし、箕浦の期待通りにことが動くことはなかった。
杉本はズボンのポケットに手をつっこむと、中から拳銃を取り出し、静かに安全装置を外す。
「マズい」
「！」
『乱歩さん少し下がってね』
「うん」
探偵社の面々はそれに気づき対処する準備をした。
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ark(プロフ) - あきあきさん» ありがとうございます！そう言って貰えて嬉しいです！！これからもよろしくお願いします！ (2021年2月28日 5時) (
レス) id: 875b3ab9f7 (このIDを非表示/違反報告)
あきあき - 最初から読ましていただきました！すっごく面白いです！原作+夢主のかけあいとかが好きです！頑張ってください！ (2021年2月28日 4時) (レス) id: 2068c5b889 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ark | 作成日時：2021年1月17日 22時
