108 敵 ページ9
「保健が妖術にか……」
六年い組の部屋には、立花と潮江のほかに食満がいた。潮江と食満など、いつもなら一触即発の組み合わせだが、今回ばかりはそうはいかなかった。
「妖術も複雑化してきてるな。下級生なんて初めてなはずだ」
「これだけ証拠が揃ってる。あの女は今までと変わらない天女だ」
「ふむ、そのようだな。これで心置き無く、遠出の日に別れを言えるな」
「だが、伊作が邪魔するかもしれんぞ？」
「もちろん止めてくれるよな、留三郎」
「当たり前だ。俺が始末してやりたいぐらいだが、側にいてやった方がいいだろうしな」
「他に疑わしい忍たまはいるのか？」
「保健以外関わったという話を聞かんからな……いない可能性も高い」
「伊作にも聞いたが、いなさそうな感じだった」
「そうだといいが。一人一人聞いていくわけにもいかんしな……」
「後輩たちに簡単に聞くぐらいでいいだろう」
「ああ、そうだな。もしそれで他にいなければ……伝えてくれ、遠出の日を最後に天女様は戻って来なくなると」
「図書委員会の行動を待たずに始末するつもりなんだろう？伝えていいのか？」
「下級生には以前の作戦を伝えてくれ」
「図書委員会が仕掛け、本性を暴くというやつか」
立花は、保健が妖術にかかってるという事実は下級生たちにとってかなりの恐怖であると話す。天女様がいなくなるという話をすることは、その恐怖を和らげるためにも必要なのである。
「俺達がああなってた時のことを思い出すだろうしな」
潮江の言葉に、立花と食満は辛い顔をした。下級生にどれだけ酷いことをしてしまったか、今考えても恐ろしい。
「それで、誰が始末するんだ？監視役か？」
「そのままにするか、別のやつに頼むかはこっちでまた決める」
「分かった……あっ」
潮江の視界に、自身の机の上に乗った本が目に入る。立花がどうしたのだと聞くと、「本を返すの忘れてた」と話した。
「返却期限が今日なんだよ。長次に叱られる前に返してくる」
「俺も戻るか……ついでに、五年にも言っておく」
「ああ、頼んだぞ」
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和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます〜！タソガレドキは毒を入れないとは二人も分かっているけど、上級生が毒味するのはあまりにもリスクが高く、下級生はもってのほか。なので、彼女がやるのが一番なんですよねぇ。 (3月30日 20時) (
レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉くん - 毒があるかもしれないおむすびを食べるなんて男気に溢れていますねぇ！今回の作品もとても好きです！！！ (3月30日 0時) (レス) id: bc84786978 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 凡人様さん» ありがとうございます！！楽しんでいただけるよう頑張ります！ (3月13日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
凡人様(プロフ) - すっごく面白くて最新話まで読み終えちゃいました！！夢主さんが誰にも靡かないで逆に利用してやる！！って感じのずる賢いところがとっても大好きです✨このシリーズが長く続きますように🕊️ (3月12日 5時) (レス) id: 2ec7772a57 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます！彼女は立場も力も弱い人間なので、ずる賢く生きる必要があるんですよねぇ。 (3月5日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和三盆 | 作成日時：2023年12月8日 15時
