107 味方 ページ8
夜にさしかかってきた頃、食堂の裏口であいも変わらず夕餉を取る天女の前に、善法寺が現れた。彼に声をかけられやっと気づくほど、彼は気配を消していた。今は、他者に見られないように木の後ろに隠れている。
「あの、榎本さん……実は留三郎が──」
「やっぱり信じてなかった？」
「榎本さんも分かってらっしゃってたんですか！？」
「なんとなく違和感があっただけだよ。ぞわぞわしたんだ」
「僕も……留三郎の言葉や表情に大きな違和感を持ちました。あの時、僕たち以外にも味方がいないか、しきりに聞いてきましたし」
「『妖術にかかったように見せれば、妖術をかけられない』みたいなことをしてるんだろうね。相手側に君たちのことが伝わるのはアレだけど……まあ、保健との関わりは薄々気付かれてただろうしね」
「そうですね……そうだとしても、あんなに話してもまだ信じてくれないなんて……」
「君たちが妖術にかかっているという話が、彼の中で確固たる事実になってるからだろうね。それが揺るぎない限り、何をしようと考えを変えることはないかもね」
「うぅ……厄介ですね」
「こればっかりは仕方ないね。どかんと大きなことが起きないと無理だ……」
自分達の言葉が伝わらない。本当なのに、本当のことしか話してないのに。みんながそれを否定する。違う、違うと言ってくる。心配してくれてる言葉が、自分を傷つけていく。
「一応……相手側も表立ってこちらを説得しようとは思ってないみたいです」
「なるほど……妖術に対抗するぐらいなら、元を潰したほうがいいってことだね」
「ええ。だからこそ、榎本さんの方が心配です」
「そう言ってくれるだけで十分だよ」
「いつも貴方はそう言う……本当に心配してるんですよこっちは」
「それはもちろん分かってるよ。相手の動きは？」
「�猗爿瓩�探ってます。まさか彼が天女様の味方、だなんて誰も思いませんから」
「今は彼が頼りだからね、君も引き続きよろしく頼んだよ」
また薬草取りを手伝うから、と言う天女に、善法寺は思わず「ふふっ」と笑みをこぼしていた。
「もちろんです。榎本さんもお気をつけて」
ガサッと草木が揺れると、彼の声は聞こえなくなった。それと同時に、ポツポツと雨が降り始めた。
「食べ終わった後でよかった……」
天女は立ち上がり、食堂の裏口にある戸を叩いた。
「おばちゃーん、ごちそうさまでーす」
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和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます〜！タソガレドキは毒を入れないとは二人も分かっているけど、上級生が毒味するのはあまりにもリスクが高く、下級生はもってのほか。なので、彼女がやるのが一番なんですよねぇ。 (3月30日 20時) (
レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉くん - 毒があるかもしれないおむすびを食べるなんて男気に溢れていますねぇ！今回の作品もとても好きです！！！ (3月30日 0時) (レス) id: bc84786978 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 凡人様さん» ありがとうございます！！楽しんでいただけるよう頑張ります！ (3月13日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
凡人様(プロフ) - すっごく面白くて最新話まで読み終えちゃいました！！夢主さんが誰にも靡かないで逆に利用してやる！！って感じのずる賢いところがとっても大好きです✨このシリーズが長く続きますように🕊️ (3月12日 5時) (レス) id: 2ec7772a57 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます！彼女は立場も力も弱い人間なので、ずる賢く生きる必要があるんですよねぇ。 (3月5日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和三盆 | 作成日時：2023年12月8日 15時
