142 黒い土の謎�� ページ43
「掘るのは構わんが……土しか出てこないぞ」
「落とし穴を掘った際に、土の色が変わっている部分を見たことはありませんか？」
その光景を思い浮かべていた不破が「確かに！」と声を上げた。
「全部同じ色ではなかったですね」
「今回、それが重要となるんです。さっ、四人で掘りましょう！」
主に諸泉と不破ではあるが、四人で大きな穴を掘っていく。なぜか手慣れた様子の天女に、「なんか手慣れてるような……」ときり丸が不思議そうな顔をした。
「穴を掘ることはありませんが、落とし穴を埋めたりするので」
「ああ、綾部喜八郎先輩のっすよね。用具委員会の仕事じゃないんですか？」
「私が生活してる庵は生徒が近寄れないので、私自身が埋めなきゃなんです」
小松田や吉野などに手伝ってもらいながら、落とし穴を埋めてきたのだと話す。
「ふうん。前の天女は仕事すらしてなかったと聞いていたが、全く違うな」
「衣食住を恵んでもらっている立場ですので、これぐらいはしないとですよ」
「いいですか〜、Aさ〜ん？それすらも前の天女様達はしなかったんすよ〜？」
不満そうに頬を膨らませ、文句を垂れるきり丸に、不破も同意するように頷いた。
「妖術にかかれば、それを咎めることすらできない。挙げ句の果てに、下級生を傷つけ始める……はぁ……」
途端に落ち込みながら、ザクッ…ザクッ…と掘り進め始めた。
(引き摺ってるなぁ……)
「先輩、過ぎたことですから落ち込まないでくださいってば！」
「でも……」
天女が来たことで、今までのような天女様が学園に現れるのではないかという不安が再び現れたのだろう。
諸泉が彼の背を軽く叩いた。
「ほら、しゃんとしろ」
彼が不破に小さく後輩を不安にさせるなと真剣な表情で言った。不破はすぐに表情を変え、「ごめんね」ときり丸に謝った。
「もうあんな状況にはさせないから」
きり丸は驚いた後、笑顔を見せながら「はい！」と頷いた。
「まあ、私が現れたことで不安が増しているだけかと。早く帰り方を見つけないとですね」
「そんな……Aさんは違うってみんなが分かれば、不安なんて消えると思いますよ！」
「……そうだといいね」
口元に微かな笑みを見せてそう言った。しかし、諸泉から(そう思っていないだろ)という嫌な視線を受けた。
「ふぅ……けっこう掘りましたが、どのくらい掘ればいいんですか？」
「そうですね……ああ、あともう少しですよ！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 305人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます〜！タソガレドキは毒を入れないとは二人も分かっているけど、上級生が毒味するのはあまりにもリスクが高く、下級生はもってのほか。なので、彼女がやるのが一番なんですよねぇ。 (3月30日 20時) (
レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉くん - 毒があるかもしれないおむすびを食べるなんて男気に溢れていますねぇ！今回の作品もとても好きです！！！ (3月30日 0時) (レス) id: bc84786978 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 凡人様さん» ありがとうございます！！楽しんでいただけるよう頑張ります！ (3月13日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
凡人様(プロフ) - すっごく面白くて最新話まで読み終えちゃいました！！夢主さんが誰にも靡かないで逆に利用してやる！！って感じのずる賢いところがとっても大好きです✨このシリーズが長く続きますように🕊️ (3月12日 5時) (レス) id: 2ec7772a57 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます！彼女は立場も力も弱い人間なので、ずる賢く生きる必要があるんですよねぇ。 (3月5日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：和三盆 | 作成日時：2023年12月8日 15時
