104 薬草取り�� ページ5
「平成って数百年後って言うじゃないですか。今と全く違うんでしょうね」
食満が未来のことを話させようと誘導するが、天女は「平成……ああ、まあ……」と言うだけに留めた。なぜか平成に引っ掛かっていたが、何でだろうか。
「それで、どういう時にスベリヒユを使うんですか？」
「えっ、ああ、これは……そうですね、乱太郎と伏木蔵は分かるかい？」
「えーと……確か、煎じて飲めば下痢に効きます！」
「毒虫に噛まれた時にも傷口に塗るといいんですよぉ〜」
「へえ。未来でも見かけそうな植物なのにすごいですね」
今までの天女様とは違い、天女は薬草に興味津々だった。薬草を取るたびに何に使うのかを聞くし、善法寺や保健委員の話を真摯に聞いていた。
「天女様、薬草にご興味が？」
「何も知らないので少し気になって」
「未来では薬草を使ったりしないんですか？」
三反田がそう尋ねると、天女は「専門の方にお任せしてますからねぇ」と答えた。
「薬師ですか」
「ええ、その方々に症状を見てもらって、薬を処方してもらうんです。その薬も研究によってより効果が得られるように作られているので……私たちが薬草を知る機会はほとんどないかと」
「未来の薬が知れたら、今の治療にも活かせるのに……」
「すみません、何も知らなくて」
「いえいえ！天女様は何も悪くありませんよ！」
今度は牡丹が花を咲かせている場所へと移動した。牡丹は根の皮が薬として使われるらしい。
「これがうっ血に効くんですよ」
三反田は、簡潔だが素人の天女に分かりやすく、薬草について話していた。すでにほかの下級生は牡丹と、その隣に咲いている芍薬を採っている。
「シャクヤクは根から鎮痛薬が取れるんですよ」
「へえ、本当に面白いですね」
採集方法を教えてもらうと、天女も薬草となる植物を採り始めようとした。すると、食満が天女の持っていた鋤を持った。
「天女様がこんなことをする必要はありませんよ」
隣にいる三反田の表情が、ぴたりと固まる。
「やりたくてやってることですので大丈夫ですよ」
「……そうでしたか。申し訳ない」
「いえ、そんな。お気遣い感謝致します」
普段よりも温和な様子でそう言う天女に、食満も笑みを返していた。彼の笑みは自分たちがよく見るような、明るく輝いた笑顔ではなかった。天女様に見せる愛想笑い。
(まだ今までの天女様と変わらないと思ってそうだなぁ……)
善法寺は小さくため息をついた。
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和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます〜！タソガレドキは毒を入れないとは二人も分かっているけど、上級生が毒味するのはあまりにもリスクが高く、下級生はもってのほか。なので、彼女がやるのが一番なんですよねぇ。 (3月30日 20時) (
レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉くん - 毒があるかもしれないおむすびを食べるなんて男気に溢れていますねぇ！今回の作品もとても好きです！！！ (3月30日 0時) (レス) id: bc84786978 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 凡人様さん» ありがとうございます！！楽しんでいただけるよう頑張ります！ (3月13日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
凡人様(プロフ) - すっごく面白くて最新話まで読み終えちゃいました！！夢主さんが誰にも靡かないで逆に利用してやる！！って感じのずる賢いところがとっても大好きです✨このシリーズが長く続きますように🕊️ (3月12日 5時) (レス) id: 2ec7772a57 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます！彼女は立場も力も弱い人間なので、ずる賢く生きる必要があるんですよねぇ。 (3月5日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和三盆 | 作成日時：2023年12月8日 15時
