137 本当の依頼主 ページ38
同時刻、天女を含めた図書委員会一行は村の近くにたどり着いていた。
山々に囲まれた平野部の奥に見える高原。平野部は家屋が点々としており、水田や畑が広がり、緑の絨毯を作り出していた。しかし、特徴的な黒い土が高原を埋め尽くしていた。
中在家の背から降り、ゆっくりながらも高原の上へと登っていく。彼や下級生に支えられながら、高原上に着いた。
「ここが日暮村っすか？」
きり丸が辺りを見渡す中、なぜか中在家と不破だけは何かを警戒するように顔を強張らせていた。
「もそ……少しここで待っていてほしい」
「でも、先輩……あの人達って──」
彼は大丈夫だという風に頷くと、縁側に横座りしている村人に声をかけた。隣にいる村人が立ち上がったが、横座りの村人がそれを制した。
「不破先輩？どうしてそんなに警戒を……」
「ここにいるの……全員忍者だよ」
「えっ！？」
「まさか嵌められた……！？」
彼が答えるよりも前に、中在家と共に村人がこちらに歩いてきた。被っていた笠を取ると、包帯で覆われた顔が現れる。その顔を見た図書委員会は目を見開かせた。
「タ、タコヤキドキ城の……！」
「ちょっと粉もん！？」
「伏木蔵くん達と同じ間違え方するねぇ」
唯一見えるその目がこちらを捉えた。
「知らない子もいそうだね。タソガレドキ城の雑渡昆奈門だよ、よろしくね」
状況が飲み込めない天女は軽く会釈を返した。
「どうしてタソガレドキがここに……」
「学園長に依頼したの私だからね」
誰もが驚く中、中在家が軽くタソガレドキ城と彼について教えてくれた。本来敵の立場らしく、思わずぎょっとする。
「敵なのに依頼を……？」
「学園長殿に利益を提示したんだ。最近、ドクタケが怪しい動きを見せてるから、その調査をうちが請け負う代わりに協力してほしいってね」
それでも受ける理由にはならないと思ったが、「こんな面白いこと……学園長先生が放っておくわけないもんなぁ……」ときり丸が呟いたことで納得した。
「大層なことは求めない。何か新しい発見をしてくれたらいいな程度だからね」
加え、監視するように忍者達がいるが、危害は加えないので安心してほしいとのことだった。今もなお村人のような出立ちの忍者達がこちらを見ていた。
「もそ……学園長が許可した依頼ですので……精一杯努めさせていただきます」
思うところがありながらもそう言う中在家に、彼は目を細めて笑みを見せた。
「頼んだよ」
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和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます〜！タソガレドキは毒を入れないとは二人も分かっているけど、上級生が毒味するのはあまりにもリスクが高く、下級生はもってのほか。なので、彼女がやるのが一番なんですよねぇ。 (3月30日 20時) (
レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉くん - 毒があるかもしれないおむすびを食べるなんて男気に溢れていますねぇ！今回の作品もとても好きです！！！ (3月30日 0時) (レス) id: bc84786978 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 凡人様さん» ありがとうございます！！楽しんでいただけるよう頑張ります！ (3月13日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
凡人様(プロフ) - すっごく面白くて最新話まで読み終えちゃいました！！夢主さんが誰にも靡かないで逆に利用してやる！！って感じのずる賢いところがとっても大好きです✨このシリーズが長く続きますように🕊️ (3月12日 5時) (レス) id: 2ec7772a57 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます！彼女は立場も力も弱い人間なので、ずる賢く生きる必要があるんですよねぇ。 (3月5日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和三盆 | 作成日時：2023年12月8日 15時
