135 動き出す ページ36
竹谷はガッと潮江の腕を掴み返した。「八左ヱ門、やめろ！」と久々知が言うが、彼の言葉は止まらない。
「あの人は……今までの天女様とは違かった！妖術を使うような人じゃない！会ったことがないから……醜いだなんて言えるんです！！」
潮江に腕を掴まれていた久々知は戦慄し、成り行きを見守っていた善法寺はくすりと笑った。
「バカタレが……そんなこと鼻から知っとるわ！」
「「……へ？」」
「文次郎が煽るようなこと言うから、そう言われるんだよ」
「敵か見極める必要があったんだから仕方ないだろ」
潮江は二人を掴んでいた腕を離し、思案し始めた。
「おかげで、あの人は思っていた以上に味方を増やしていたと知れた」
隠されると困る情報だと言うのに、と潮江はぼやいた。善法寺はその言葉に頷き、「先生方も教えてくださればいいのにね」と少々怒っていた。
話についていけない竹谷と久々知は、交互に二人の顔を見ていた。
「あの……全然話が見えないのですが……」
「ああ、ごめんね。実は文次郎も榎本さんの味方なんだ」
「しっ、潮江先輩が……！？」
「何かの間違いじゃ！？」
「よほど扱かれたいみたいだな、竹谷ァ」
「ひぃっ！すみません！」
「二人は、僕に榎本さんを助けに行こうって言おうと来たの？」
竹谷はそうだと頷いた。悪い人ではない天女が山賊に襲われ、いい様にされているかもしれないなど耐えられなかった。
「久々知は？」
「まだ天女様を信じ切れなくて……いえ、怖いんです。いつか裏切られるんじゃないかって……」
彼もまた今までの天女様によってもたらされた過ちに、非常に怯えていた。一度でも妖術にかかれば、同級生や下級生に何をするか分からない。自分が自分ではなくなる。天女が天女様に近い存在である限り、不安を拭えないのだ。
「それでも……酷い目に遭っていいわけじゃない。助けられるなら助けたいんです」
「ふふ、その言葉を聞けて安心したよ」
「これで動ける奴が増えたな。伊作、お前はここにいろ。警戒されているのはお前だからな」
「……分かった。榎本さんを頼んだよ」
「久々知は鉢屋と尾浜の動きを見てくれ。竹谷、お前は俺と一緒に学園長先生のところへ」
久々知は頷くと、そのまま天井裏へと姿を消して行った。竹谷と潮江も続くように姿を消し、医務室には善法寺だけが残された。
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和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます〜！タソガレドキは毒を入れないとは二人も分かっているけど、上級生が毒味するのはあまりにもリスクが高く、下級生はもってのほか。なので、彼女がやるのが一番なんですよねぇ。 (3月30日 20時) (
レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉くん - 毒があるかもしれないおむすびを食べるなんて男気に溢れていますねぇ！今回の作品もとても好きです！！！ (3月30日 0時) (レス) id: bc84786978 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 凡人様さん» ありがとうございます！！楽しんでいただけるよう頑張ります！ (3月13日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
凡人様(プロフ) - すっごく面白くて最新話まで読み終えちゃいました！！夢主さんが誰にも靡かないで逆に利用してやる！！って感じのずる賢いところがとっても大好きです✨このシリーズが長く続きますように🕊️ (3月12日 5時) (レス) id: 2ec7772a57 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます！彼女は立場も力も弱い人間なので、ずる賢く生きる必要があるんですよねぇ。 (3月5日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和三盆 | 作成日時：2023年12月8日 15時
