133 止まらない違和感 side 鉢屋 ページ34
ところ変わって、忍術学園。学園に戻ってきた鉢屋と尾浜により、天女がどうなったか報告がなされた。
下級生には、遠くの山に置いてきたから学園には戻ってこないと。
上級生には、今頃山賊のいい様にされてるだろうと伝えられた。
「よくやった、二人とも」
二人は、立花に「ありがとうございます」と笑みを見せた。
「先輩、保健委員以外に不審な動きを見せた忍たまはいましたか？」
「いや、いなかった。あとは、あいつらが妖術から解放されるのを待つだけだ」
天女様を問いただしても、妖術の解き方が判明しなかったために、いまだ自然に妖術から解放されるのを待つしかないのだ。
「天女様は……どうして山賊に捕まったんだ？」
少々暗い顔をしている食満がそう二人に聞いた。
(善法寺先輩が心配なんだろうな……)
同級生、それも同室の仲間が妖術にかかり、何を言っても天女は悪い人ではない、良い人だと主張をする。そんな光景を何日も見てきているのだろう。早く元に戻ってほしいと願い、元に戻らなかったら……と不安になるに決まっている。
「天女様が俺達から逃げようとしたんです、煙玉とか使って」
「へえ、足掻いたのか」
「そのあと捕まえたんですが、また逃げ出して……未来のものを使ってきたんです」
「未来のものねぇ」
「まあ、そこで諦めていたほうが天女様にとっても良かったぐらいですが」
天女様が逃げた先には山賊がいた。なんと運の悪いことか。力尽き、もう動けない天女様はあっけなく、山賊に捕まった。
「そんな感じです。捕まるところだけ確認して流石に去りましたが」
「……そうか」
「まあ、天女様らしい最後だな」
潮江が淡々とそう言った。学園をめちゃくちゃにした天女様達も、放置されてきた天女様達も、悲惨な最後を迎えている。
「山賊から逃げ延びている可能性は低そうだな」
報告会議が終わると、上級生達は部屋から去っていく。そんな姿を鉢屋は眺めていた。
(なんだ……違和感が……)
報告した時、安堵したり、嬉しそうにしたりするような、目に見えて感情を出した生徒は
(まだ保健が妖術から解放されていないからだとは思うが……)
そう彼は思っていたが、違和感は拭えなかった。ぞわぞわとした違和感が胸を覆い尽くすように広がっていく。
──生徒達の心情が揺れ動かされているなど、彼が知れるわけがなかった。
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和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます〜！タソガレドキは毒を入れないとは二人も分かっているけど、上級生が毒味するのはあまりにもリスクが高く、下級生はもってのほか。なので、彼女がやるのが一番なんですよねぇ。 (3月30日 20時) (
レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉くん - 毒があるかもしれないおむすびを食べるなんて男気に溢れていますねぇ！今回の作品もとても好きです！！！ (3月30日 0時) (レス) id: bc84786978 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 凡人様さん» ありがとうございます！！楽しんでいただけるよう頑張ります！ (3月13日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
凡人様(プロフ) - すっごく面白くて最新話まで読み終えちゃいました！！夢主さんが誰にも靡かないで逆に利用してやる！！って感じのずる賢いところがとっても大好きです✨このシリーズが長く続きますように🕊️ (3月12日 5時) (レス) id: 2ec7772a57 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます！彼女は立場も力も弱い人間なので、ずる賢く生きる必要があるんですよねぇ。 (3月5日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和三盆 | 作成日時：2023年12月8日 15時
