131 山の廃屋�� ページ32
「左近たちは──……天女様の帰りを信じてたのに？」
左近を含め二年生は以前、天女の仕事風景を目撃しており、他の下級生と比べると、敵意を持っていなかった。
「そうは言ってもね……ないもんはないよ」
図書委員会は全員が唖然とし、言葉が出ないようだった。
「死ぬかもしれなかったのに、そんな無策で！？」
「乱太郎と伏木蔵は！最後まで天女様のことを庇ってたってのに！あんたは──！」
不破が落ち着かせるように彼の肩を抱く。天女はきり丸に顔を向け、そのまま話し続ける。
「それなら、君は
きり丸は目を見開かせた。苦しそうにこちらを見る瞳に驚きが生まれていく。
「天女様の時のような激しい争いではないだろうけど、亀裂は生まれる。こんなことを言っても無駄だろうけど──……妖術じゃないからこそ、その亀裂はそう簡単には埋まらない」
「だから……自分一人犠牲になろうと？」
不破がそう聞くと、天女は少々不快そうに眉をひそめた。
「犠牲になるだなんて思ってないですよ。私は何も悪くないんですから」
「じゃあ、なんで……」
「いつ殺されるのかと恐怖し続けるより、殺されるとわかっている今の方がいいかと思って」
殺されるという選択肢しか残ってないかのように言う天女に、不破は胸を掻きたくなるような感情に駆られた。
では、なぜ天女は五年の二人から逃げ続けたのだろうか。
「逃げ切れる可能性が見えてしまったから……かな」
「可能性……？」
五年二人は天女を今までの天女様と変わらない存在だと思っていたこと、すぐには殺さず弄ぼうとしていたこと、そして、山賊が近場にいたこと。
「山賊……まさか、崖を登り始めた時に見た二人組の……」
「そうです。登ってからそこまで経ってなかったので、まだ近くにいると踏んだんです」
山本や吉野からもらった逃走道具も持っていた。まだ考える余裕が自分にはあった。五年二人は自分を侮っていた。
「死ななくていいなら、それ以上に良いことなんてないからね」
「じゃあ、山賊のところに逃げたのは偶然じゃなくて！」
驚く久作に、天女は頷いて見せた。五年二人から逃げ仰ることは不可能だ。しかし、山賊ならば話は別だ。
「何をするか分からない忍者より、動きが分かりやすい山賊のほうがやりやすい。一度山賊とは対峙したこともあるからね」
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和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます〜！タソガレドキは毒を入れないとは二人も分かっているけど、上級生が毒味するのはあまりにもリスクが高く、下級生はもってのほか。なので、彼女がやるのが一番なんですよねぇ。 (3月30日 20時) (
レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉くん - 毒があるかもしれないおむすびを食べるなんて男気に溢れていますねぇ！今回の作品もとても好きです！！！ (3月30日 0時) (レス) id: bc84786978 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 凡人様さん» ありがとうございます！！楽しんでいただけるよう頑張ります！ (3月13日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
凡人様(プロフ) - すっごく面白くて最新話まで読み終えちゃいました！！夢主さんが誰にも靡かないで逆に利用してやる！！って感じのずる賢いところがとっても大好きです✨このシリーズが長く続きますように🕊️ (3月12日 5時) (レス) id: 2ec7772a57 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます！彼女は立場も力も弱い人間なので、ずる賢く生きる必要があるんですよねぇ。 (3月5日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和三盆 | 作成日時：2023年12月8日 15時
