103 薬草取り�� side 善法寺 ページ4
遠出まであと四日。本日も天気は良好。
「あの天女様を参加させるなんて……凄いな、伊作！」
「ふふん、きちんと許可状も頂いたしね。逢瀬の誘いなんかよりも天女様は興味を示してくれるんだ。用具委員会は君だけ？」
「ああ……最初は後輩たちも誘おうと思ったんだが、天女様がいるとなるとなぁ。予算のためとは言えど、やっぱり怖いらしくてな」
「そっか……」
「でも、伊作のところこそ大丈夫なのか？天女と下級生を会わせて……」
「うん、大丈夫だよ。あっ、みんな揃ったかな？点呼とるよ！」
保健委員会の善法寺、三反田、川西、乱太郎、伏木蔵。用具委員会の食満。そして、天女。
軽く自己紹介を交わすと、天女は「よろしくお願いします」と頭を下げた。
「天女様、そんなに固くならなくていいですよ。薬草を取りに行くだけですから！」
「は、はあ……」
表面的には親しくないように見せているため、善法寺はいつもと違う雰囲気を見せていた。初めから味方だと食満に話しても、警戒されるだけだと考えたからだ。
しかし、流石に保健の下級生は喜びを隠せていなかった。
「そう言って、いろんなことに巻き込まれんのがお前らだろうが……」
「留三郎、しーっ！」
用具委員会が食満だけ参加なのは惜しいが、六年が味方になるのならば心強い。もちろん、天女を信じてくれるのならば、だが。
「よーし、出発ーっ！」
長屋の奥へ入っていくと、そこには薬草園が広がっていた。
「収穫する際に注意すべきことはありますか？」
「ああ、そうですね。とにかく僕の指示に従うことが一番ですね。逐一指示しますので」
危険な植物もあるのでと話すと、天女は納得したようだった。
季節的に、初夏に花を咲かせたり、実をつけたりとしている植物を採取していく。例えば、スベリヒユ。これは季節関係なく生えている野草だ。
「これを薬すると何に効くか知ってるかい？」
善法寺は、保健委員会の後輩たちにスベリヒユを見せた。
「はい。赤痢菌や大腸菌、チフス菌に効きます」
「えっ、菌の概念があるの！？」
三反田から顔をあげ、目を丸くして驚いている天女を善法寺は見上げる。
「え、えーと、それがどうかしましたか？」
「……いえ、ごめんなさい」
天女は謝罪すると背を向けて、小さく「どうしても慣れない……」と呟いていた。
「慣れない……ああ、時代が違いますもんね。つい忘れちゃいます」
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和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます〜！タソガレドキは毒を入れないとは二人も分かっているけど、上級生が毒味するのはあまりにもリスクが高く、下級生はもってのほか。なので、彼女がやるのが一番なんですよねぇ。 (3月30日 20時) (
レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉くん - 毒があるかもしれないおむすびを食べるなんて男気に溢れていますねぇ！今回の作品もとても好きです！！！ (3月30日 0時) (レス) id: bc84786978 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 凡人様さん» ありがとうございます！！楽しんでいただけるよう頑張ります！ (3月13日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
凡人様(プロフ) - すっごく面白くて最新話まで読み終えちゃいました！！夢主さんが誰にも靡かないで逆に利用してやる！！って感じのずる賢いところがとっても大好きです✨このシリーズが長く続きますように🕊️ (3月12日 5時) (レス) id: 2ec7772a57 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます！彼女は立場も力も弱い人間なので、ずる賢く生きる必要があるんですよねぇ。 (3月5日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和三盆 | 作成日時：2023年12月8日 15時
