129 醜く足掻け�� ページ30
「あーあ、可哀想に……天女様もずっと痛い思いしたくないでしょ？」
尾浜の言う通り、天女はボロボロだったがいまだ諦めを見せていない。
「ハッ。いつまでその澄まし顔が持つか、楽しみだな」
その瞬間、爆発するような音が近くから響いた。耳を塞ぎたくなるような爆音だった。
「うっるさ！！」
「ぐっ、なんだこの音！」
彼らは咄嗟に構え、音の出所を探る。その隙に、天女はまた逃げた。だんだんと音が小さくなっていく。
「は？今の天女様の仕業だったってこと！？」
どんな音だろうと大音量で一気に鳴らせば、誰でも怯む。スマホをよく知らないのなら余計にだ。
「ふざけるな……」
ギリッと鉢屋が歯軋りを立てる。
「逃げ切れると思うなよッ！！」
これがもう最後のチャンスだ。これ以上は逃げ続けることはできない。捕まればそのままあの世行きだ。
「ゔっ！」
ズッと足に何かが刺さり、体勢が崩れる。それでも走り続ける。痛みなど今の彼女では感じなかった。しかし、鉢屋と尾浜は迫って来ていた。
(まずい、もう……！)
そんな彼女の前に一筋の光が見え始めた。
(──いた！)
複数見える人影に向かって走り抜け、まるで誰かに追われ続けて疲れ果てたかのように、その人影の前で地面に倒れた。
「あ？なんだ、急にボロボロな女が出てきたぞ」
そこにいたのは、山賊だ。
「誰かに追われてたのか？嬢ちゃん、運が悪ぃなぁ。出会ったのが俺らなんて」
山賊の思わぬ登場に、天女に攻撃を繰り返していた二人は木の上で何やら話し合っている。
「上玉ってほどじゃあねぇが、まあ売れんだろ」
二人はまだこちらを見下ろしている。天女は肩で呼吸をする。大袈裟に、息を切らしたように、もう動けないと見せるように。
「すぐには売らないでおくってのもいいんじゃねぇか？一回ぐらい試しても価値は落ちねぇだろ」
「確かに。嬢ちゃんとの出会いに感謝しねぇとなァ」
山賊の嫌な言葉を聞くと、二人はまた話し合い、もう一度天女を見下ろすとそのまま姿を消した。
彼らは
たとえ、そんな目に遭うのが憎き天女様だったとしても。
(だろうね……)
山賊が天女を掴むよりも先に、山賊の腕を掴んだ勢いに任せて立ち上がった。そして、その山賊の眼球の前にスマホを差し出す。
「あ？」
眩い白い光が山賊の視界を覆い尽くした。
「ギャアアア！！」
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和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます〜！タソガレドキは毒を入れないとは二人も分かっているけど、上級生が毒味するのはあまりにもリスクが高く、下級生はもってのほか。なので、彼女がやるのが一番なんですよねぇ。 (3月30日 20時) (
レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉くん - 毒があるかもしれないおむすびを食べるなんて男気に溢れていますねぇ！今回の作品もとても好きです！！！ (3月30日 0時) (レス) id: bc84786978 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 凡人様さん» ありがとうございます！！楽しんでいただけるよう頑張ります！ (3月13日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
凡人様(プロフ) - すっごく面白くて最新話まで読み終えちゃいました！！夢主さんが誰にも靡かないで逆に利用してやる！！って感じのずる賢いところがとっても大好きです✨このシリーズが長く続きますように🕊️ (3月12日 5時) (レス) id: 2ec7772a57 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます！彼女は立場も力も弱い人間なので、ずる賢く生きる必要があるんですよねぇ。 (3月5日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和三盆 | 作成日時：2023年12月8日 15時
