126 君の言う通りに ページ27
「作戦に関してだが……三郎と勘右衛門に実行役を務めてもらう。内容もすでに伝えてある」
立花がそう言った。元々監視役だった久々知は、お使いを頼まれていた鉢屋と交代したようだった。久々知はまるで何かから逃げるように目を逸らしていた。
不安そうな不破に「そういうことだ」と二人が笑いかけた。
「雷蔵たちは天女様なんて気にせずに、ただ村に行けばいいだからな」
「……うん、ありがとう」
「じゃあ、俺達は何をするんだ？」
「保健委員以外に、いるかもしれない天女様の味方を学園から出さないようにしてくれ。もちろん先生方も」
お互いがお互いを監視する。誰かが指示から外れた行動をした途端、それは学園全体に伝わり、天女の敵である忍たまがその邪魔をすることだろう。
「天女様を孤立させろってわけだな」
「ああ、できるなら下級生も動員してくれ。先生方は特にそのほうが動きにくくなるからな」
・・・
「という報告が先程届いた。誰も当日動けん。榎本くん、本当にどうする気じゃ。このままでは……」
「いえ、逆に好都合です。実行役と図書委員会以外は動けない。味方が動けないということは、敵も動けないということですから」
「じゃが、それでは一方的に蹂躙されるだけじゃぞ」
天女は一拍置いて、口を開いた。
「鉢屋くんに言われたんですよ。一度痛い目に遭ったほうがいいって」
「なんと……その傷は彼がやったのか……うむ……して、それがどうしたんじゃ」
「彼の言葉通りにしようかと。私のことを生徒達が信じるようになるのには、言葉では無理です。行動が伴う必要があります」
「だが、味方がいない状態でそんなことを──！」
「いいえ。それをしてこそ……種が芽吹くんです。うまく行く可能性は限りなく低いですが」
「それでは死に行くようなものじゃぞ」
彼らは始末する気だ。その時点で、上級生から天女は逃げられるわけがない。
「ええ。だからこそ、少し抗う……それだけです」
元の時代に帰れる確証がないような状態で死ぬわけにはいかない。そう天女が思っても、それでも死ぬ確率の方が圧倒的に高い。
何を言っても無駄であることは、学園長もすでに分かっていたが、なんとも言えない顔をしていた。
「万全を期していると、彼らには伝えてください」
不安でたまらないでしょうから、と言えば、学園長は顔をしかめたが、頷いてくれた。
「……承知した、武運を祈る」
「ありがとうございます、学園長先生」
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和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます〜！タソガレドキは毒を入れないとは二人も分かっているけど、上級生が毒味するのはあまりにもリスクが高く、下級生はもってのほか。なので、彼女がやるのが一番なんですよねぇ。 (3月30日 20時) (
レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉くん - 毒があるかもしれないおむすびを食べるなんて男気に溢れていますねぇ！今回の作品もとても好きです！！！ (3月30日 0時) (レス) id: bc84786978 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 凡人様さん» ありがとうございます！！楽しんでいただけるよう頑張ります！ (3月13日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
凡人様(プロフ) - すっごく面白くて最新話まで読み終えちゃいました！！夢主さんが誰にも靡かないで逆に利用してやる！！って感じのずる賢いところがとっても大好きです✨このシリーズが長く続きますように🕊️ (3月12日 5時) (レス) id: 2ec7772a57 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます！彼女は立場も力も弱い人間なので、ずる賢く生きる必要があるんですよねぇ。 (3月5日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和三盆 | 作成日時：2023年12月8日 15時
