123 あいにくと雨のようで�� ページ24
彼の前には、見覚えのある生徒がいた。前に事務室に来たことがある四年生だ。
「こんにちはぁ、天女様」
「こんにちは。ご無沙汰してます」
「えっ。タカ丸さん、天女様と会ったことあるんですか？」
「うん、事務室に用事が会った時にね」
「へぇ……あっ、天女様はＡセットにしたんですね。やっぱり唐揚げも美味しそうだなぁ〜、鮭少しあげるんで唐揚げ一個くださぁい」
「嫌です」
唐揚げを狙おうとする綾部から守るように手で遮る。
「なんで？少しぐらいならいいでしょ」
「親しい間柄ならいいですが、貴方は違います。あと、食事時間の喋りも許可を得てからにしてください」
「はぁ？それもなの？規則規則って縛られてて嫌じゃないの？」
「いただきます」
「ちょっと！」
綾部を無視して、おばちゃんの食事を頬張る。日々の労働を支えているのはその食事と言っても過言ではない。それを邪魔されるのはとてつもなく苦痛だ。
「まあでも、仕方ないよねぇ。前の天女様のことがあるから、天女様としてもこうするのが一番なんだよ」
「それは知ってますけどぉ……」
彼は小声で、「平然としてるのが余計に腹立つんだよなぁ」と呟いている。おそらく天女に聞こえるように言っているのだが、天女は一瞬視線を向けただけで、すぐに唐揚げを口に放り込んだ。
「喜八郎が天女様と話してるなんて珍しいな」
「あっ、立花先輩」
「こんにちは、仙蔵くん」
「やあ。天女様もこんにちは」
天女も、「こんにちは」と立花に挨拶を返した。
作戦の指揮役である立花と標的の天女の両方が愛想のいい笑顔で、挨拶を交わしている。そこに表面的な違和感はない。
「そうだ、喜八郎。今日は委員会だからな、忘れるんじゃないぞ」
綾部は「えぇ〜」と嫌そうだった。
「天女様も連れてっていいですかぁ？そうしたら、僕も参加しますよ」
天女はその提案に顔をしかめると、首を振った。
「それは無理なお願いですね」
「ちぇっ、そう言うと思いましたよ」
「ごちそうさまでした」
皿類を片付けると、天女は食堂を後にした。その姿を見送っていた綾部も、最後の一切れを口に放り込んだ。
「じゃあ、僕も穴掘りしちゃおうっと」
「委員会だって言ってるだろう！」
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和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます〜！タソガレドキは毒を入れないとは二人も分かっているけど、上級生が毒味するのはあまりにもリスクが高く、下級生はもってのほか。なので、彼女がやるのが一番なんですよねぇ。 (3月30日 20時) (
レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉くん - 毒があるかもしれないおむすびを食べるなんて男気に溢れていますねぇ！今回の作品もとても好きです！！！ (3月30日 0時) (レス) id: bc84786978 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 凡人様さん» ありがとうございます！！楽しんでいただけるよう頑張ります！ (3月13日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
凡人様(プロフ) - すっごく面白くて最新話まで読み終えちゃいました！！夢主さんが誰にも靡かないで逆に利用してやる！！って感じのずる賢いところがとっても大好きです✨このシリーズが長く続きますように🕊️ (3月12日 5時) (レス) id: 2ec7772a57 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます！彼女は立場も力も弱い人間なので、ずる賢く生きる必要があるんですよねぇ。 (3月5日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和三盆 | 作成日時：2023年12月8日 15時
