102 のらりくらりと躱わす ページ3
「まさか二人とこんなに仲良くなってるなんて、なんだか妬けますね」
その笑みの裏にある闇が微かに見え隠れする。
「勿論、許可は取ってきてますよ」
尾浜がぺらぺらと許可状を揺らした。
「なんでお前ら……」
竹谷と久々知のほうが、彼らの行動に驚いていた。
(この二人は接触がほぼない……庄左ヱ門君が所属してる学級委員長ってことか)
ならば、この誘いに乗るわけにはいかないが、理由が必要だ。
「用事は終わったんでしょ？じゃあ、天女様借りるね」
「昨日買ったばかりの菓子があるんですよ。それを食べながら、ゆっくり話しましょう」
許可状を見つめていた天女は、とある言い訳を思いついた。
「申し訳ありませんが、それはできません」
「は？どうしてです？」
鉢屋は途端に苛つきを声に含ませた。思い通りに事が運ばないと感情を表に出す癖があるようだ。相手が天女となると余計にそうなるのだろう。
「申請する生徒が多いのか、『用件』が必須になったようでして」
久々知は竹谷が持っていた紙を覗き込んだ。確かに飼育小屋内外の清掃と書いてある。
「吉野先生が『用件が明確に記述されているもののみ、正式な許可と認める』と」
学園長はそれを気にすることなく、署名してしまったのだろうと話す。
「規則上、例外を認めてしまうと後々困ったことになりますので……」
そんな規則などでっち上げだ。だが、後で実際に学園長に提案することにしよう。
「そう……でしたか。それは申し訳ない。こちらの不手際です」
「いえ、お誘いはとても嬉しかったです」
申し訳なさそうにそう言うと、天女はそのまま飼育小屋を後にしていった。
・・・
姿が見えなくなると、鉢屋は地面を蹴った。
「まさかこの二人を言いくるめるとはなぁ」
「本当に腹が立つ！！」
「せっかく話しかけてあげたのにねぇ」
「先生が本当にそう言ったかは疑問だけど、こっちが押し切れない理由を選んでたな」
不機嫌さを隠さない鉢屋とやれやれとしている尾浜に、なぜ天女に接触したのかと久々知が尋ねる。
「傍観に徹するって言ってたのに」
「二人が天女様といるのを見たからだよ。ねえ、三郎？八左ヱ門が楽しそうに話してたから、大慌てで──むがっ！」
尾浜の口を塞ぎ、「反応を見るためだよ、反応を！」と彼は急いで反論した。
「へえ、心配してくれてたのか！」
「それならそう言ってくれればいいのにな」
「違うって言ってるだろうが！」
103 薬草取り�� side 善法寺→←101 焦る生物委員長代理��
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和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます〜！タソガレドキは毒を入れないとは二人も分かっているけど、上級生が毒味するのはあまりにもリスクが高く、下級生はもってのほか。なので、彼女がやるのが一番なんですよねぇ。 (3月30日 20時) (
レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉くん - 毒があるかもしれないおむすびを食べるなんて男気に溢れていますねぇ！今回の作品もとても好きです！！！ (3月30日 0時) (レス) id: bc84786978 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 凡人様さん» ありがとうございます！！楽しんでいただけるよう頑張ります！ (3月13日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
凡人様(プロフ) - すっごく面白くて最新話まで読み終えちゃいました！！夢主さんが誰にも靡かないで逆に利用してやる！！って感じのずる賢いところがとっても大好きです✨このシリーズが長く続きますように🕊️ (3月12日 5時) (レス) id: 2ec7772a57 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます！彼女は立場も力も弱い人間なので、ずる賢く生きる必要があるんですよねぇ。 (3月5日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和三盆 | 作成日時：2023年12月8日 15時
