116 『無関心に怯えた』�� ページ17
「それなら今殺す必要性はないのでは？」
「遠出の日まで待ってなんかいられないからに決まってるじゃん。あんたにとってもいい提案だと思うけど？」
今はまだ生き埋めにされるだけだ。今度はどうなるかわかったもんじゃない。
天女様に恨みがあって、天女様が恐怖に駆られるのを見たいと言う上級生が集まるだろう。
「もっと酷い目に遭わされるかもね」
「それならこれは、貴方なりの慈悲ということになりますね」
穴の上を見上げながらそう言うと、彼は少しの間、沈黙を保った。
「苛つくね、あんたって……本当に腹立つ。前の天女様より嫌いかも」
天女は返事を返さず、じっと黙った。このまま殺されるのだろうと思っていたが、それ以上、土が降ってくることはなかった。
代わりに縄梯子が下された。
「気が変わった」
上からそう聞こえてきた言葉に、天女は重たい土をどかしていく。土というものは重なり合うとかなり重い。少し息を切らしながら退け終えると、縄梯子に手を伸ばした。
天女は穴から出ると、そこにやはりと言った具合に先ほどの彼がいた。
「何で嫌いか教えてあげようか？」
「いえ──」
理由を言おうかと口を開けば、「興味がないので。でしょ？」と言い当てられた。
「だから、腹立つの。僕たちに全く興味がない。いなくてもいいって思ってる。それが嫌なんだよ」
興味を持てば前の天女様と同じだと言われるだろうに、どうすればいいと言うんだ。
「はぁ……そうですか。ああ、貴方が私を落としたんですから、お礼は言いませんよ」
「そういうところだって言ってるんだけど！」
「仕方ないでしょう、事実なんですから。では、これで」
・・・
天女が淡々とそう言い、去っていく後ろ姿を、綾部は見つめた。先ほどまでの憎悪とは違う感情が胸の中を埋めていた。
「保健が妖術になんて絶対うそじゃん」
本当は、天女様に興味を持たれることのほうが怖いはずなんだ。でも、それが当たり前すぎて、興味を持たれないことに不安と恐怖を抱くようになった。
(天女様に興味を持たれるなんて、最悪なはずなのに……どうして不安だったんだろう)
ああ、やはりいまだ天女様という悍ましい存在に侵されているということか。
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和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます〜！タソガレドキは毒を入れないとは二人も分かっているけど、上級生が毒味するのはあまりにもリスクが高く、下級生はもってのほか。なので、彼女がやるのが一番なんですよねぇ。 (3月30日 20時) (
レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉くん - 毒があるかもしれないおむすびを食べるなんて男気に溢れていますねぇ！今回の作品もとても好きです！！！ (3月30日 0時) (レス) id: bc84786978 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 凡人様さん» ありがとうございます！！楽しんでいただけるよう頑張ります！ (3月13日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
凡人様(プロフ) - すっごく面白くて最新話まで読み終えちゃいました！！夢主さんが誰にも靡かないで逆に利用してやる！！って感じのずる賢いところがとっても大好きです✨このシリーズが長く続きますように🕊️ (3月12日 5時) (レス) id: 2ec7772a57 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます！彼女は立場も力も弱い人間なので、ずる賢く生きる必要があるんですよねぇ。 (3月5日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和三盆 | 作成日時：2023年12月8日 15時
