115 無関心に怯えた�� ページ16
ところ構わず掘られた落とし穴は、天女が落ちるようにと作られたものだ。だが、落ちるのは保健委員会やそれに巻き込まれた生徒たちばかりで、肝心の天女は落ちない。それだけならまだ我慢できた。
──保健委員会が妖術にかけられた。
このままでは尊敬する先輩や親しい友人、自分を慕ってくれる後輩にまで被害が及ぶかもしれない。遠出の日まで待ってなどいられない。
だからだろう、痺れを切らしたその彼はぽっかり開いた落とし穴に、彼は天女を突き落とした。
・・・
「い゛った……」
両手を突いて落ちたからか、ヒリヒリとした痛みが出てきた。膝も擦れたのか痛みが伝わってくる。すると、ザクッと音がしたと思ったら、どしゃっと土が落ちてきた。
「うっ、」
頭巾を解き、顔全体に掛からないようにと顔を俯かせる。
どしゃっ、どさっ
土砂は止まることなく穴に落とされ、天女の周りに土が堆積していく。この穴から出ることができない天女はただ終わるのを待つことしかできなかった。
生き埋めにされるのだろうか。そんな考えがよぎるが、不思議と恐怖が湧かない。なぜだろう。
体が半分土に覆い被された状態になると、土砂が降り止んだ。
(なんで止まったんだろう……)
顔を上げると、穴の上から誰かが覗き込んだ。四年生の忍び装束を身に纏っている、おそらくこの穴を掘った張本人──綾部喜八郎だろう。
「ねえ、何で助けてって言わないの？何で命だけはって言わないの？」
天女は嫌そうに顔を伏せた。
「……助けてって言ったところで貴方達は助けない、それぐらいは知っています」
「じゃあ、殺されてもいいんだ？」
彼は余裕そうにこちらへと声をかけてくる。
「……大声を出せば誰か気づくかもしれないですが、気づくのは敵の方かもしれないですし」
「僕に殺されそうになってるのわかってる？」
「分かってますよ。実感が湧かないだけです」
「腹立つなぁ……前の天女様はわあわあ喚いて命乞いしてきて面白かったのに。あんた、ずっと澄ました顔してて……くのたまでもないのに、落とし穴に落ちないし！」
どしゃっと頭の上に土が降ってくる。それを手でほろっていく。そんなことを言われても困ると顔をしかめる。
「そうだ、立花先輩があんたを図書委員会の遠出の日に始末するって言ってたよ」
「……ええ、知ってます。まあそうなりますよね」
驚くわけではなく、そう答える天女に綾部は顔を歪める。
116 『無関心に怯えた』�□�←114 『蛇の恩返し』��
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和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます〜！タソガレドキは毒を入れないとは二人も分かっているけど、上級生が毒味するのはあまりにもリスクが高く、下級生はもってのほか。なので、彼女がやるのが一番なんですよねぇ。 (3月30日 20時) (
レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉くん - 毒があるかもしれないおむすびを食べるなんて男気に溢れていますねぇ！今回の作品もとても好きです！！！ (3月30日 0時) (レス) id: bc84786978 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 凡人様さん» ありがとうございます！！楽しんでいただけるよう頑張ります！ (3月13日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
凡人様(プロフ) - すっごく面白くて最新話まで読み終えちゃいました！！夢主さんが誰にも靡かないで逆に利用してやる！！って感じのずる賢いところがとっても大好きです✨このシリーズが長く続きますように🕊️ (3月12日 5時) (レス) id: 2ec7772a57 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます！彼女は立場も力も弱い人間なので、ずる賢く生きる必要があるんですよねぇ。 (3月5日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和三盆 | 作成日時：2023年12月8日 15時
