113 『蛇の恩返し』�� ページ14
天女はなんなく三年生の教室がある階にたどり着いた。
どうしてここにいるのか、保健に妖術をかけたのか、などと生徒が聞こうと近寄ると、ジュンコが周囲を威嚇し始めるからだった。
「分かった。午後、授業がないから探してみる」
「すみません……竹谷先輩……」
「ジュンコのことだ、どこかでネズミでも狩ってるかもな」
三年生の教室の前には、先日生物小屋の掃除を頼んできた生物委員長代理と、ジュンコの飼い主であろう三年生がいた。
「お話し途中のところ、申し訳ないのですが……」
そう話しかけると、彼らは振り返った瞬間にぎょっとした。
「えっ、天女様！？」
「な、何でここに……ジュンコォ！？」
「長屋の方で烏に襲われているのを発見しました。どうやら少し怪我をしているようでしたので、飼い主の元へ早く連れてこようと思いまして、このような形に」
天女は少し屈み、伊賀崎の身長に合わせた。すると、ジュンコはするすると動き出し、彼の腕の中に移った。
「本来、許可なく話すことは禁止されていますが、緊急時ということでご容赦ください」
「お、俺達が許す側なんですね……」
もちろんです、という風に頷くと、やはり竹谷は驚いたまま「なるほど……？」と首を傾げていた。
「ああ、ジュンコォ！そんな怖い思いを……！ごめん、置いてけぼりにして……やっぱりあの時探すべきだったんだぁ……天女様がいなかったらと思うとぉ……！」
懐から包帯やら薬やらを取り出し、ジュンコの手当てをしながら、伊賀崎はおんおんと泣いていた。
「天女様って……蛇、大丈夫なんですね？」
「昆虫は苦手ですが、それ以外の生物は大丈夫です」
「あ、あの！お礼を……！」
伊賀崎の言葉を、天女は手で遮った。
「ジュンコちゃんが元気になるのがお礼ということで」
天女が手当てされたジュンコを見て、そう微笑んだ。すると、ジュンコがするするとまた動き、また天女の首に巻きついた。伊賀崎に向かってチロチロと小さく舌を出したかと思ったら、再び彼の元へ戻って行った。
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和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます〜！タソガレドキは毒を入れないとは二人も分かっているけど、上級生が毒味するのはあまりにもリスクが高く、下級生はもってのほか。なので、彼女がやるのが一番なんですよねぇ。 (3月30日 20時) (
レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉くん - 毒があるかもしれないおむすびを食べるなんて男気に溢れていますねぇ！今回の作品もとても好きです！！！ (3月30日 0時) (レス) id: bc84786978 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 凡人様さん» ありがとうございます！！楽しんでいただけるよう頑張ります！ (3月13日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
凡人様(プロフ) - すっごく面白くて最新話まで読み終えちゃいました！！夢主さんが誰にも靡かないで逆に利用してやる！！って感じのずる賢いところがとっても大好きです✨このシリーズが長く続きますように🕊️ (3月12日 5時) (レス) id: 2ec7772a57 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます！彼女は立場も力も弱い人間なので、ずる賢く生きる必要があるんですよねぇ。 (3月5日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和三盆 | 作成日時：2023年12月8日 15時
