111 『ジュンコと遭遇』 ページ12
天女は掃除をしようと忍たま長屋近くに来ていた。どの学年も授業があるため、長屋は空っぽだ。
相手方も事を大きくはしたくないらしいようで、天女自身にどうこう言うといったことはしてこなかった。
(どうしたもんかな……)
今後のことを軽く考えながら掃き掃除をしていると、烏の鳴き声が聞こえた。これ自体は珍しくない。
カー、カー！
しかし、鳴き声が木々の上ではなく、もっと近くから幾度も聞こえ、天女は長屋の裏手に回った。
「えっ、あれって……」
そこで、何羽かの烏に襲われている蛇を見つけた。最初はこれが食物連鎖だと見て見ぬ振りしようとしたのだが、食堂で見たことがある蛇(三年生の首元に巻き付いていた。ペットらしい)と似ていることに気づいた。
「まさかね……」
もしものためだと箒を軽く振りながら烏をしっしっと追い払うとする。しかし、烏達も反抗し、カーカー！と鳴き声をあげては天女を襲おうとした。
「シャァ──ッ！」
ジュンコと思わしき蛇があらんかぎりの威嚇を見ると、烏たちは諦めたように飛んでいった。
「逆に助けられたような気が……」
天女が視線を地面に向けると、蛇はじっと天女を見上げていた。
(言葉なんて通じないだろうしな……)
屈んで、蛇の状態を確認する。烏に突かれたような傷が少しあった。
「飼い主のもとに連れてった方がいいよなぁ……その前に先生方に会えればいいんだけど……」
蛇はするすると動き出し、屈んでいる天女の足から登り、首に巻きついた。
「ひっ！え、あ、飼い主のもとに行きたいってことでいいの……？」
「シャァ」
「おお、通じるんだ……首は絞めないでね？」
吉野か他の先生を探していると、運良く五年生の実技を担当している木下と遭遇した。
「ジュンコをなぁ……今までの天女様と違う点が増えたな」
「木下先生は生物委員会の顧問でいらっしゃいましたよね？」
「ああ、そうだな」
「でしたら、ジュンコちゃんを──」
「ジュンコは離れたくなさそうだぞ」
「いやいや！保健のこともお聞きになさってますよね？私が連れて行くというのは……」
「だからこそだ。榎本くん、この機を利用するんだ。生物委員は生物の感を信じてるからな」
「利用って……」
「妖術じゃないんだ、問題ないだろう？さっ、早く行け！三年は座学だから校舎にいるぞ！」
ばしんっ！と背中を叩かれた。しかも、いい笑顔で。天女は渋々といった様子で校舎に向かった。
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和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます〜！タソガレドキは毒を入れないとは二人も分かっているけど、上級生が毒味するのはあまりにもリスクが高く、下級生はもってのほか。なので、彼女がやるのが一番なんですよねぇ。 (3月30日 20時) (
レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉くん - 毒があるかもしれないおむすびを食べるなんて男気に溢れていますねぇ！今回の作品もとても好きです！！！ (3月30日 0時) (レス) id: bc84786978 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 凡人様さん» ありがとうございます！！楽しんでいただけるよう頑張ります！ (3月13日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
凡人様(プロフ) - すっごく面白くて最新話まで読み終えちゃいました！！夢主さんが誰にも靡かないで逆に利用してやる！！って感じのずる賢いところがとっても大好きです✨このシリーズが長く続きますように🕊️ (3月12日 5時) (レス) id: 2ec7772a57 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます！彼女は立場も力も弱い人間なので、ずる賢く生きる必要があるんですよねぇ。 (3月5日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和三盆 | 作成日時：2023年12月8日 15時
