100 焦る生物委員長代理�� side 久々知 ページ1
遠出の日まであと六日。その日までに天女様を落とすなど、もう不可能に近い。
「雷蔵と中在家先輩が狙いだなんて……くそっ、狙いを絞り切る前にこっちに意識を向けさせねぇと……！」
「いや、もう無理だと思うが……」
「特別予算を諦めるのか、兵助は！千載一遇の機会なのに！」
「立花先輩でも落とせなかったんだぞ？やるとしても、どうするって言うんだ？先生方は誰も許可してくれないっていうのに」
確かにそうだ、久々知の言葉に彼はそう唸った。しかし、目をキラキラさせながら「一つだけある！」と言い放った。
「学園長にお願いするんだよ！」
「そうか、今回の図書の話も学園長が許可してたな。ほかの先生じゃ無理だろうし」
「よし、それじゃあ早速行くぞ！」
「えっ、今から！？」
「善は急げだ！」
竹谷の言う通り、学園長は簡単に許可を出してくれた。
学園長からもらった許可状を見せると、天女は顔を強張らせた。ニコニコと笑顔を振り撒く竹谷はその様子に気づいていなかったが、久々知の目には明らかに写っていた。
「飼育小屋の清掃……？」
「八左ヱ門、許可を得てまでやることがそれなのか？」
「だって、まあ……」
竹谷はごにょごにょと「逢瀬なんて恥ずかしいだろ」と忍者のたまごとは思えない呟きをこぼした。
「予算がほしくないのか？」
「欲しい、欲しいよ！でも、これとそれとはまた──」
早く彼らとの用事を終わらせたそうな天女が、「あの……」と後ろから会話を遮った。
「早く行かないんですか」
「あっ、すみません、行きましょうか！兵助も行くぞ！」
「あ、ああ……」
生物委員会が担当している飼育小屋。ここで数多くの生物が飼われており、教師や生徒たちと任務をこなすことができる、もしくは将来的に行うことになっている生物が多い。
「噂には聞いていましたが凄いですね」
「嫌がらないんだ……」
「何を？」
「えっ。あ、いえ、なんでもありません」
久々知はふとつぶやいた言葉を聞かれていたとは思わず、焦ったように首を振った。
天女は嫌な顔ひとつせず、飼育小屋内の掃除も手伝った。
「天女様は……その、えー……あのー」
後ろで久々知が頭を抱えた。竹谷は好みやら何やらを聞き出そうとしているのだが、歯切れが悪い。
もう来年で最上級生となる五年生。忍務において女性から情報を聞き出したり、懐に入ったりとするのだが、いかんせん天女には上手くいかないからか、もごもごとするしかないのだ。
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和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます〜！タソガレドキは毒を入れないとは二人も分かっているけど、上級生が毒味するのはあまりにもリスクが高く、下級生はもってのほか。なので、彼女がやるのが一番なんですよねぇ。 (3月30日 20時) (
レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉くん - 毒があるかもしれないおむすびを食べるなんて男気に溢れていますねぇ！今回の作品もとても好きです！！！ (3月30日 0時) (レス) id: bc84786978 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 凡人様さん» ありがとうございます！！楽しんでいただけるよう頑張ります！ (3月13日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
凡人様(プロフ) - すっごく面白くて最新話まで読み終えちゃいました！！夢主さんが誰にも靡かないで逆に利用してやる！！って感じのずる賢いところがとっても大好きです✨このシリーズが長く続きますように🕊️ (3月12日 5時) (レス) id: 2ec7772a57 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます！彼女は立場も力も弱い人間なので、ずる賢く生きる必要があるんですよねぇ。 (3月5日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和三盆 | 作成日時：2023年12月8日 15時
