Summer～短編集～(JW) (ページ10)

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「…柚月」

久しぶり呼ばれた名前に涙が止まらなくなった。

『ねぇ、淳太くん。私もう淳太くんがわかんなくなっちゃった。』

『…もう、別れた方がいいのかな？』

そう言った瞬間に、懐かしい体温に包まれた体。

「柚月、ごめん、ほんまに俺が悪かったから、俺の話聞いて欲しい。」

『…うん』

「あんな、俺、柚月の事がほんまに好きなんよ。
さっきしげの方行った方がいいとか言ったけど、全部嘘。ずっと俺の傍にいて欲しいし、俺の方が手離したくない。」

『淳太くん…』

「記念日忘れてたんはほんとにごめん。俺、最近ほんまに俺が柚月と付き合ってて柚月が幸せになれるのかとか考えて余裕なかってん。
…それくらい柚月が大事。」

そう言われた瞬間、言いたかった事が全部沈んでいって、私の胸にはもう淳太くんに対する愛おしさしかなかった。

『淳太くん、もういいよ、大丈夫。
十分伝わったから…』

「…だから、柚月、俺と結婚してくれませんか？」

そう言って私の顔を覗き込む、今までで一番カッコイイ淳太くんが視界で滲む。

あ、私泣いてるなんて気づいた時には、もう一度愛しい腕の中にいた。

「ほんまは柚月が高校卒業してから言おうと思っててんけど、もう不安にさせたくない。」

「柚月、好きとかじゃ足りひんよ。愛してる」

『私も！』

もうこの手を離さないように、力強く抱きついた。

END