番外編(2) ページ37
中間side
柚月が卒業して、すぐに結婚した俺達。
それから1年経った今、柚月のお腹ん中には俺達の子供がいる。
せやから幸せいっぱい、なはずなんやけど…
『…はぁ』
最近柚月のため息が多いねんなぁ。
あの日から自分の気持ちお互いに言い合えるようになったはずなんやけど、
「柚月、最近ため息多いで?どうしたん。」
『ん、淳太くん、なんでもないよ!』
いつもこうやって誤魔化されてまう。
「…俺って、そんなに頼りないん?」
『…え』
「もう、柚月の考えてること分からんわ…」
リビングを後にした俺は、寝室に入ってすぐ後悔に襲われた。
「予定日近いのに、何してんねやろ、俺」
結局柚月とは気まずいまま仕事に出かけた次の日。
「中間先生、お電話です。」
「…?はい」
そう言って電話をとった瞬間、俺は走り出していた。
…目指す先は、分娩室。
「柚月!!」
俺が駆け寄ると、柚月は笑った気がした。
それと同時に…
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「柚月、元気な男の子やって」
あれからお医者さんの話を聞いてきた俺は、柚月のベッドの前に座る。
柚月は少し出血が多かったらしく、目が覚めるまでに時間がかかるらしい。
早く、話したいなぁ…
『…ん、じゅんたく…?』
「柚月!調子悪ない?大丈夫?」
柚月は俺の姿を見た瞬間、涙を浮かべた。
「柚月?どっか痛いん?」
『…ううん、ね、淳太くん。昨日はごめんなさい』
申し訳なさそうに言った柚月に、とりあえず身体は大丈夫なのかと安心した。
『あのね、ずっと不安だったの』
「…不安?」
『そう、だって私ついこの間まで高校生だったんだよ?この子を幸せに出来るのか、とか。淳太くんの負担にならないか、とか。』
今にも泣きだしそうな柚月の手をそっと握る。
「柚月はほんまにアホやんな、俺が選んだ女やで?そんな無駄な心配せんくてええの。
1人で抱え込むなや、俺は絶対迷惑なんて思わんよ」
ありがと、と掠れた声で言った柚月がどうしようもなく愛しくて、
俺はそっと唇を重ねた。
END
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作者名:@moca | 作成日時:2019年7月26日 22時