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今日はお盆最終日。
きっと、私が成仏出来る最後のチャンス。
だから、
『智くん、今日は私の行きたい所に付き合ってもらってもいい？』
「おん？もちろん」
母校の最寄り駅から電車で30分。
目を見張るような鮮やかな向日葵畑は、私達が初めてデートした場所。
「おぉ、懐かしいなぁ」
『うん、あの日、私も智くんも緊張でガチガチだったの覚えてる？』
「今考えたら恥ずかしいわ」
照れくさそうに笑う智くんに心臓が掴まれるような気持ちになる。
『私、あの時急に告白されてびっくりしちゃった』
だから、私達が始まったこの場所で、きちんと終わらせるんだ。
『あのね、智くん。今、確認したいことがあるの』
「ん、なに？」
『智くん、あなたは今、幸せですか？』
「当たり前やん、めっちゃ幸せ」
大好きな優しい顔に向かって、大きく深呼吸をする。
『もし、私が消えてしまっても？』
「…え？」
『私、本来ここにいていい人じゃない。
私はこの世の人じゃないの。
お盆が終わればきっとまた智くんには見えなくなっちゃう。』
「なんで、そんなこと言わんでや…」
『智くん、私、もう辛そうな智くんを1人で見るのは嫌だよ。だからね、最後のお願い聞いてくれる？』
私はもう、成仏できる方法を知っているから
『智くんにずっと幸せでいて欲しい。』
「え…」
『私が居なくなっても、日常の小さな幸せを見つけて、笑顔を沢山見せて欲しい。それに、私はその笑顔を天国で見たいの。』
「柚月…」
『私のお願い、叶えてくれますか？』
時が、止まったような気がした。
「…柚月の願いなら、しゃあないなぁ」
いつものように笑ってみせる智くん。
全然ダメだよ、泣きそうなのバレバレ。
「その代わり！柚月も幸せでいること。
後、我儘を言うなら、俺がそっちに行くまで待ってて欲しい。」
私の視界は涙いっぱいで、もう声を出すことも出来なくて
返事の代わりのキスをして、私は智くんの前から消えた。
最後のキスは、少ししょっぱい味がした。
END
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作者名：@moca | 作成日時：2019年7月26日 22時
