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それに気づいたのか、そうでないのか、拓弥さんは帰り支度の手を止めた。
薫「拓弥も一緒に食べよう?」
拓弥「………」
拓弥さんは、手を止めたまま無言だった。
拓弥「……なんで病院にいたの」
ロッカーの方へ向けていた体を、拓弥さんは私に向けた。
拓弥「なんでさくらの見舞いなんか行ったの?」
拓弥さんは、明らかに私を見ている。
…私に聞いてるんだよね?
A「えっと…」
疑いなのか、悲しみなのか…
拓弥さんの目は、冷たかった。
佑亮「さくらのこと、話したんだよ」
佑亮はいつもの優しいトーンでそう言った。
太陽「…Aさんな、すずらんのこと、本気で考えてくれて―――」
拓弥「さくらの何を知ってるんだよ」
佑亮や太陽くんがフォローしてくれたけど、
拓弥さんの目はずっと私をとらえたままだった。
空気が凍りつく。
薫「…Aちゃんは、事情を全部知ってるよ。
少しでもお店を変えたいからって―――」
拓弥「そうじゃなくて。
あいつが感じた苦しみをどこまで分かってんだよって聞いてんの。
なんで部外者が立ち入ってくんだよ」
部外者。
…そう言われてみれば、確かにそうかもしれない。
事故があった時、まだすずらんに出会ってもいなかったし…
拓弥「もう五か月経つのに……まだ目覚まさねぇんだぞ」
スタッフルームが重い空気に包まれ、誰も言葉を発さなかった。
拓弥「……もし仮に意識が戻っても、
さくらが俺らに会うことは…もうない」
薫「…そんなのわかんないでしょ」
拓弥「わかる」
薫「わかんない」
拓弥「もう戻って来ねぇんだよあいつは!!!」
A「………」
拓弥さんの、さくらさんに対する想いの強さ。
それは、私には想像もできないほどのものだった。
拓弥「……よくヘラヘラしてられるよな、お前ら」
晃一「ええ加減にせえ」
口を開いたのは晃一さんだった。
拓弥「……」
晃一「そんなこと言うために戻ってきたんやないやろ」
拓弥「……」
A「……私、帰ります」
たまらず、私はスタッフルームを飛び出した。
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はるか(プロフ) - Aya//3さん» 思い出していただけて嬉しいです(;o;) とんでもない亀更新ですがどうぞよろしくお願いします! (2017年7月30日 20時) (レス) id: cd8a1ba0e9 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 繭さん» コメントありがとうございます!わぁ覚えてくださってるんですね( ;∀;) もう少し先なので、更新頑張っちゃいます!(笑) (2017年7月30日 20時) (レス) id: cd8a1ba0e9 (このIDを非表示/違反報告)
Aya//3(プロフ) - まっちゃさん» ありがとうございます* 設定とか全部思い出せました(笑)続きが毎回楽しみです!! (2017年7月27日 23時) (レス) id: bcc21e66fd (このIDを非表示/違反報告)
繭(プロフ) - 大好きな稜雅君のターンが早く来ないかと毎回ワクワクしてます(^o^) (2017年7月26日 19時) (レス) id: a47fa469bb (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ(プロフ) - Aya//3さん» もちろんですよ( ;∀;)そうなんですか!!読ませて頂きます(^-^)! (2017年7月20日 21時) (レス) id: 660af00ab9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まっちゃ | 作成日時:2017年7月8日 23時