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Aちゃんのお父さんから連絡が入った。
XPの神経症状が出始めていて、
近い将来、彼女の体全身が麻痺してしまうかもしれないと、
医者から告げられたらしい。
そして彼女は、どうやらすごく落ち込んでいるみたいで。
僕はたまらなくなって、彼女に会いに行った。
彼女のお母さんが家に上げてくれて、
部屋の前まで案内してくれた。
母「A。佑亮くん来てくれたわよ」
僕は部屋のドアをノックして、彼女に声をかけた。
佑亮「……入るよ」
部屋のドアを開けると、彼女はベッドに横たわっていた。
なんだか元気がないように見える。
佑亮「こんばんは」
A「うん…」
佑亮「どう?調子は」
彼女はしばらく黙ったままだった。
A「ごめんね…」
佑亮「え?」
A「私…歌えなくなっちゃった」
そう言って、彼女は自分の左手に視線を落とす。
A「ごめんね…」
か細い声で、彼女は謝り続けた。
佑亮「僕なんか変なことしてなかった?」
A「へ?」
僕は部屋の奥の窓に近づいた。
ここからは、バス停が見える。
佑亮「こっから見てたんでしょ?」
A「うん…」
彼女は僕の隣に来た。
A「変なことって?」
佑亮「…逆立ちとか」
彼女に笑ってほしくて。
どんな冗談でも言おうと思った。
A「してないよ(笑)」
佑亮「…匍匐前進とか」
A「してないしてない(笑)」
佑亮「だよね…(笑)」
彼女は笑ってくれた。
良かった。
彼女の笑顔が見られるだけで、
僕は幸せなんだ。
A「あたしが最初に見たのはね」
佑亮「え?」
Aちゃんはバス停を見つめながら話し始めた。
A「子供みたいな佑亮くん」
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まっちゃ(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!そして作品を読んでいただき、嬉しすぎるお言葉まで( ; ; )ありがとうございます!頑張ります! (2017年8月30日 23時) (レス) id: 660af00ab9 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 今更だけど読ませていただきました!とても素敵な話で鳥肌が立ちました笑おうえんしてます (2017年8月30日 23時) (レス) id: 28408c4a36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まっちゃ | 作成日時:2016年6月13日 23時