検索窓
今日:1 hit、昨日:9 hit、合計:34,844 hit

3 ページ3

.
 


 


―――――
――――
―――


 


そんなある日の明け方だった。


 

そろそろ眠りにつこうかと思い、


カーテンを閉めようとすると、


バス停に一人の男子高校生の姿が見えた。


 


通学カバンをバス停のベンチに置いて、

彼はイヤホンを付けて踊っていた。


 

端正な顔立ち、


そしてそのしなやかなダンスに

目を奪われた。


 


一生懸命に、


うまくいかないようなところは

何度も繰り返し同じ振りを踊っていた。


 

ダンスに詳しいわけではないけど、


今までで一番きれいなダンスだと思った。


 


 

その日から、私は毎朝のように彼の姿を見るようになった。


 


友達にダンスを教えてもらっていたり、


 
その友達とステージ代わりに、

バス停にあるベンチに上って踊っていたら

通りがかりの近所のおじさんに怒られて、

ペコペコ頭を下げていたり…


 
友達とゲラゲラ笑いながら話していた時は、

彼の甲高い笑い声と屈託のない笑顔が印象に残った。


 


私はそんな彼に特別な感情を抱き始めていた。


 


……だけど。


 


彼と私では、住む世界が違うと言っても過言ではない。


 

太陽の下では、

絶対に出会うことはないんだから。


 


そんな日々が続いている時だった。


 


親友の美咲が私の家に遊びに来た夜。


 


父「お前、学校ちゃんと行ってんのかよ」


 


美咲「一応ね?出席だけして寝てるけど」


 


とか言いながら、美咲は高々に笑い、


出された唐揚げを頬張る。


 


美咲とは小さい頃からの親友で、

兄弟のような存在になっていた。


 


父「お前なぁ…

  ていうかお前食いすぎなんだよ!」


 


美咲「育ち盛りだから!


  あ、A。今日聞きに行ってもいい?」


 


A「うん、もちろん」


 


父「おいおい。何で俺はダメでこいつはいいんだよ」


 


A「お父さんが来た瞬間ギター投げつけるから」


 


父「……」


 


お父さんを黙らせ、夕飯を食べ終わると


 
私は美咲と駅に向かった。


 


広場の“ステージ”でいつものように

歌い始める。


 


目の前では美咲が私の歌を一生懸命聞いてくれていた。


 


歌が二番のサビに差し掛かった時だった。


 

私はその姿に思わず手を止めた。


 


あの人だ…


 
.

4→←2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (45 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
199人がお気に入り
設定タグ:超特急 , ユースケ , 福田佑亮
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

まっちゃ(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!そして作品を読んでいただき、嬉しすぎるお言葉まで( ; ; )ありがとうございます!頑張ります! (2017年8月30日 23時) (レス) id: 660af00ab9 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 今更だけど読ませていただきました!とても素敵な話で鳥肌が立ちました笑おうえんしてます (2017年8月30日 23時) (レス) id: 28408c4a36 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まっちゃ | 作成日時:2016年6月13日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。