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―――――
――――
―――


 


彼に会えなくなって、


どれくらい経ったんだろう…


 


会いたい。


 


これが、正直な気持ちだった。


 


部屋の床にごろんと寝っ転がって、


 
窓から見える月を見ていた。


 


彼のために作ったあの曲を、口ずさむ。


 


彼は今、何してるかな…


 


すると、玄関のインターホンが鳴った。


 


こんな時間に人が訪ねてくることなんてめったにないから、


インターホンの音を久しぶりに聞いた気がした。


 


そして、もう一度インターホンの音が繰り返される。


 


いい加減近所迷惑なので、私は一階に下り


玄関に向かった。


 


A「…どなたですか」


 


自分でも不機嫌だと分かる声で、


ドアの向こう側の人物を追い返そうとした。


 


?「僕だよ」


 


間違いない。


彼の声だ……


 


佑亮「どうしたの?


もう…歌わないの?」


 

会いたくてたまらなかったはずなのに…


 

気まずくて、逃げ出したくなった。


 


佑亮「…だって、あんなに歌うまいじゃん!」


 


普通だったら、最高の褒め言葉。


……のはずなのに。


 


今の私は、素直にその言葉を聞き入れられない。


 


佑亮「…もう一度聞きたいんだ」


 


A「私は」


 


彼の言葉を遮った。


 

もう、聞きたくない。


それ以上聞いたら…


私はきっと病気であることを余計に腹立たしく思ってしまうから。


 


A「私はただ、普通に生きていければよかった」


 


思っていることとは逆の言葉が、


口からポロポロとこぼれていった。


 


A「それだけなのに」


 


やだ。こんな自分。


彼は何も悪くないのに。


 


A「もう来ないで…」


 


佑亮「え?」


 


もし彼が目の前にいて、彼の顔を見たら、


私はきっと同じことなんて言えないだろう。


 


A「これ以上私に関わってもきっといいことなんかないよ」


 


佑亮「ちょっと待って…」


 


せっかく会いに来てくれたのに。


 


私はドアの向こう側の彼に背を向けて、


自室へと戻った。


 


彼の人生を、


彼の二度と戻らない時間を犠牲にするくらいなら、


私が身を引いた方がいい。


 


そんなのきれいごとだって、自分が一番わかっていたけど。


今の私が考える最善の選択はこれだった。


 


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まっちゃ(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!そして作品を読んでいただき、嬉しすぎるお言葉まで( ; ; )ありがとうございます!頑張ります! (2017年8月30日 23時) (レス) id: 660af00ab9 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 今更だけど読ませていただきました!とても素敵な話で鳥肌が立ちました笑おうえんしてます (2017年8月30日 23時) (レス) id: 28408c4a36 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まっちゃ | 作成日時:2016年6月13日 23時

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