三話 また、君の歌を ページ16
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私は車で病院に連れていかれた。
先生によれば、軽く右手の甲が炎症を起こしただけだという。
帰りの車内は気まずくて、ずっと黙っていた。
父「……なんなんだ、今朝の奴」
車を運転する父が、バックミラー越しに私を見てボソッとつぶやいた。
父「聞いてねぇそ、そんな話」
A「…言ってないもん」
父「お前なぁ」
私は、カーテンのかかった窓にもたれた。
母「Aの、好きな人?」
母らしい、ドストレートな質問だった。
再び、父にバックミラー越しに見られた気がした。
A「……悪い?」
気恥ずかしくなって、言葉がとげとげしくなる。
A「…でももうおしまい」
母「え?」
自分の気持ちにフタをしないと。
どんどん大きくなる、自分の気持ちに。
A「…安心して? もう会わないから…」
もう、彼には会えないような気がしていた。
あれが最後だって、なんとなくそう思った。
彼にだって、将来がある。
そんな彼の将来を奪いたくはない。
私は本当の気持ちを押し殺して、
そっと涙を隠した。
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まっちゃ(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!そして作品を読んでいただき、嬉しすぎるお言葉まで( ; ; )ありがとうございます!頑張ります! (2017年8月30日 23時) (レス) id: 660af00ab9 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 今更だけど読ませていただきました!とても素敵な話で鳥肌が立ちました笑おうえんしてます (2017年8月30日 23時) (レス) id: 28408c4a36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まっちゃ | 作成日時:2016年6月13日 23時