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ギターが置きっぱなしになっていたことに気づいても、
ただただ一心不乱に、
迫りくる朝日から逃げるように、ひたすら走る。
空の色が少しづつ変わってきた。
どうしよう。
死ぬかもしれない…
呼吸が苦しくなって、膝に手を付き、肩で息をした。
もう…走れないかも…
そう思ったその時、背後からクラクションの音が聞こえた。
音が聞こえたと思ったら、タクシーが一台、私の横に止まった。
佑亮「乗って!!」
助手席の窓から顔を出したのは佑亮くんだった。
私は考える暇もなく、後部座席に乗り込んだ。
―――――
――――
―――
空はだいぶ明るくて、遠くに太陽が顔を出し始めている。
いつものバス停を通り過ぎ、
家のすぐ下の石段の前でタクシーは止まった。
その瞬間、私はタクシーから飛び出した。
佑亮「あ、ギター!!」
ギターのことも忘れて、
私はただ太陽から逃げた。
死にたくない…
まだ、生きていたい。
歌っていたい。
背中に太陽の熱を感じ、さらに足を速めた。
視界の隅に太陽が見えた気がして、
怖くなって目をつむり、走った。
玄関のドアに手をかけた時、
右手に痛みが走った。
私の右手は朝日を浴びてしまった。
焼けるように痛い…
私はすぐさまドアを開けて家に入り、ドアを閉めた。
佑亮「待って!!!」
バタンッ
ドアが閉まる音と、彼の声はほぼ同時だった。
息が上がっているのと、
恐怖とで、
しばらく動けなかった。
佑亮「…ギター、ここ置いとくね……」
彼の力ない声が聞こえ、玄関が静かになる。
私はその場で崩れ落ちた。
そして同時に涙が溢れ出る。
やっぱり、私が恋をするなんて、
人を好きになるなんて、無理だった。
身の程知らずだったんだ…
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まっちゃ(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!そして作品を読んでいただき、嬉しすぎるお言葉まで( ; ; )ありがとうございます!頑張ります! (2017年8月30日 23時) (レス) id: 660af00ab9 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 今更だけど読ませていただきました!とても素敵な話で鳥肌が立ちました笑おうえんしてます (2017年8月30日 23時) (レス) id: 28408c4a36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まっちゃ | 作成日時:2016年6月13日 23時