チョコを渡さない世界線 ページ12
〆.
「おはよ!」
「おっはー」
朝の挨拶が飛び交う、いつもと変わらない教室。
私に向けられた好奇の目はイレギュラーだけど。
「Aおはよ〜〜」
「神ちゃん眠そう」
「昨日の夜は流星が寝かせてくれへんかった」
「…………」
「……いや、そういう意味やないで?電話しててんて。やめて?そんな目で見るん」
「そうやで。俺が好きなんはAやから」
「うわっ」
私と神ちゃんの会話にナチュラルに入ってくる藤井くん。
昨日と同様、注目の的である。
「うわって酷いなぁ。王子様やで〜」
「自称することじゃないと思う。びっくりくらいさせてよ」
「んふふ、びっくりしてるAも可愛ええから今後はそうしよ」
「やめてね?」
いや、普通に会話してるのもびっくりだよ。
返事を催促されるかと思ってたのに。
……いや、してるなこれは。
王子様ってワードを引っ張るんだから
私の記憶から告白の一件を抹消させないようにしてるんだ。
「そんな藤井くんにプレゼント」
「そんな俺とは?なに?」
「昨日の帰りにね、衝動買いした。はい」
「えー………でか」
「シンデレラのガラスの靴チョコ。本命にしかバレンタインチョコ渡さない主義なんだけど、あげる」
「え!!!!」
「ん?」
「俺もこれAに渡そうと思って買ってきた!」
二つ揃うガラスの靴チョコ。一足やないかい。
「気が合うかもね」
「これは添い遂げるしかない」
「告白の返事は保留中では」
「アピールには保留とかないから。今後はガンガン行くんで」
「神ちゃ〜ん。この王子様こわい」
「騎士が守ったるわ」
「お姫様守るんは俺やって」
「だからその王子様がこわいんだよ」
ゆるく、ゆるく。
バレンタインにチョコを渡さなくったって、
甘い時間は訪れるのかもしれない。
〆.
渡さない世界線、end
〆.
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はゆな(プロフ) - 詩音さん» コメントありがとうございます(*´v`)バレンタインデーにキュンキュンをお届けできて何よりです。そのように言っていただけて、私も素敵なバレンタインの贈り物を頂いた気持ちです♪ (2021年2月16日 15時) (レス) id: 0477dc60f8 (このIDを非表示/違反報告)
詩音(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています。コメントは今書いてますが初見はバレンタインデーでした。素敵なバレンタインをありがとうございました。どのお話もキュンキュンしました(^^♪ました (2021年2月15日 21時) (レス) id: 18307f7f6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はゆな | 作成日時:2021年2月11日 18時