＋(続き) ページ5
＊
それにしてもこんな場所、今まで見たことない。ここは一体何なのだろうか。
ふと、建物の入口らしき扉に目が入った。まだ古びていないような、建物の色と同一の、暗い茶色のキレイな扉。
その扉を目にすると、疑うより先に体が動いた。足がそっちに向き、一歩ずつその扉に近付く。
扉にそっと手を掛ける。ほんの少し埃っぽい感覚を理解したが、それも気にせずその扉を引く力を入れる。
警備がなされた様子もない扉は、自分の思った通り簡単に開いてしまった。その扉の奥には、思っていたよりも狭いエントランスのような空間。その奥には大きな扉がある。
リン「理奈、中が気になるの？」
建物の中に見入ってると、リンが私の後ろから声を掛けた。それに頷くと、心配そうに「でもあやしいよ？」と言われた
確かに怪しいけど……これが何故突然になって現れたのかも気になるし……それに、何か引っ掛かる……。
私はゆっくりと中に入る。リンもそれに続いて入ってきた。
ここのエントランスは至って普通。特にこれと言って何かあるような様子はない。しかし問題はその奥にある扉だ。ゆっくりと近付き、その扉を前にする。そして扉のドアノブに手を掛け、ゆっくりとその扉を開く。
その先には……。
理奈「……これ、全部本棚？」
薄暗い空間に、図書館かって言うくらいたくさんの本棚が並んでいた。ただ、本棚にはあるはずの本が全然ない。すっからかんの本棚が、広い空間に並んでいた。
理奈「本がない、本棚か……」
どういった経緯でここに本棚が置かれているのかも分からず、ただ目に映る光景を見る。
でも、どうしてだろう。
なんだか、懐かしさを感じる。
リン「理奈」
空の本棚をじっと見つめていると、後ろから声が掛かった。振り返ると、扉の近くにリンが立っていた。
リン「……何か、気になる点はあった？」
そう問い掛けてくるリン。なんの意図でそう聞くのかは分からないが……。
理奈「……分からない。けど、懐かしい気がする」
正直に、そう答えた。するとリンは目を細めて「そっか」とそれだけ言って出ていった。
不思議な感覚を持ったまま私はその空間を出た。
また来たら、何か分かるのかな。
そんな疑問を浮かべて、私は謎だらけの建物も、セカイも後にした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽっカラ | 作成日時：2022年11月13日 23時
