至上主義者の伽

Z=17 ページ17

Aが急に大樹を蹴りつけた時は驚いた。
どうやら俺の味方になるようだが、演技の可能性も捨てきれない。

しかしあれはどう見ても割と本気で蹴っていた。


「もし君が邪魔立てするなら＿＿
「いくら攻撃されても俺はお前を止めることをやめんぞ！」
…復活したばかりのその子、杠を殺すと言ったら？」

「！？」


大樹が慌てて杠の元へ戻る。

同時にAを横目で窺うが、俺の言葉に反応はない。
杠とは初対面の様だが、石像と違い生身の人間を殺そうというのにAは気にもとめていない様子だった。


バタンッ


「大樹くん…！」


まさに一触即発、というところで大樹が仰向けに倒れた。
どうやらAの蹴りが効いていたみたいだ。


「結構強く蹴っちゃったし、何日か寝かしとくしかないね〜」

「……あぁ、出血がひでぇ」

「うん、仲間割れはよそう。大樹、君は杠を守ってやれ。赤の他人の石像なんかよりも。

俺も自分のやるべきこと(・・・・・・)をやる。邪魔はさせない。

…行こうA」

「はーい」


.


「千空くん、あの子も着いて行っちゃったけど、司くんの仲間なの？」

「あ"ーそうだな、そんなとこだ。
これは最悪のパターンだな…なんせこっちには今、武力が足りねぇ」


司とAのタッグは、武力×武力だ。
時速200kmを超えるクロスボウの矢を素手で止める男と、図体がでかい大樹を蹴り飛ばす女。

それに対抗するには、人類史上最大の発明品、銃が必要だ…！


「銃、つまり＿＿＿火薬を作る！！
ククク、俺らはこれから199万8700年の文明を一っっ気にワープするわけだ」


唆るぜ、これは！！

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