嫉妬とか独占とか愛情とか

桃の雪男は唯一になれない ページ46

佐久間side


目を腫らしてメガネを掛けて来た康二に、違和感を感じていた

その理由が、翔太関連である事も勿論気付いている。




目の前で、溢れ出した雫が次から次へ流れる康二の背中を擦る。


「…っさっく…ん っ、、ひくっ…さっくん、、！！」

…ごめんね康二


俺の名前をそうやって連呼してくれるのが嬉しいとか思って。

君は今悲しみのどん底に落ちているのに、今この瞬間は俺に縋って、俺の名前を何度も呼ぶ

そんな姿が愛しいだなんて思って。


相談相手にされる度に張り裂けそうな心を隠してる。

愚痴を聞く度に期待してしまっている。

…俺ってずるいのかな？



「…っあのなっ、、しょったとなっ…」

「うん…」

「お別れしてもうたっ…」



…今俺はどんな顔をしているのだろう


どんな感情なのか、自分でもよく分かっていない


康二には笑っていて欲しいのに

こんな顔させたくないのに

…させたのアイツだけど。

だけどだけど



そこまで想われてるアイツが憎くて



叶えるのはどうしても俺が良くて



矛盾してんのは分かってるけど、だけどだけど。



…チャンスだと思ってしまったんだ。



こんな、康二の不幸せを想像してしまう俺なんて、余計嫌だよね。ごめん、ごめんね




好きな人が幸せならそれでいいのに

いいはずなのに、、



…思えない。願えない。



こんな醜い俺です。だから選ばれてねーんだよ


いつだって俺は、主人公にはなれなかった



何も言葉にできなくて、とにかく目の前にいる好きな人を強く抱き締めた。


泣かないで

俺がそばに居るよ

俺なら傷付けないし、ずっと好きでいるから

俺のところにおいでよ



そんな思いを込めて、頭を撫でる。



俺に堕ちちゃえよ


ねぇ、康二




俺はずっとここにいるよ。



「…さっくん、ありがとう、、ごめんな、いつも。」

「んーん、俺がしたくてしてるだけだから気にしないで！」


少し落ち着いたのか、俺から離れて鼻を啜りながら俺へと言葉を投げかける。




「…ほんま優しいなぁさっくん。」



優しくなんかないよ。エゴだから全部



















「さっくんを好きになれたら良かったのに」









カツンと殴られた気分だった

そんなの、俺が1番思ってる

じゃあなればいいじゃん


なんでなの


なんで俺じゃないの












「…好きになってよ」

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