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それから、涼太は俺の話を時折頷きながら黙って最後まで聞いてくれて。
悲しみの場所に灯された裸電球に似た光が、俺たちを照らしていた。
「…涼太が言ってた忠告も、俺は守れなかった。今更遅いよね。俺、俺さ、自分の気持ち分かってなかった。」
小さい頃からずっと俺の横にいるお前に、こんな姿は見せたくないのに
恥ずかしいのに
スルスルと言葉が漏れてしまう
「俺ね、…康二のことが好きなんだ。誰よりも」
今にも消えてしまいそうな、そんな蛍の光のような言葉
「うん。分かってるよ。」
その幼馴染の一言が、じんわりと胸に広がっていった。
素直になれなかった
好きと言えなかった
認めたくなかった
そんな俺の強がりのせいで、今横に康二は居ない
口にキスを頑なにしなかったのだって、大事にしたかったからなんだよ。
分かってくれ … だなんて、こんなの俺のエゴだよね。
結局しちゃったし。 でも、康二があまりにも悲しそうに笑うから。だから自分がした事が間違いだって気づいて。
だけど
だけどね?康二
あの頃の俺にとって、1番大事なのは
好きだったのは
…ちゃんと康二だったよ。
今更こんなこと言ったって、信じてくれないよな
最後まで自分勝手でごめん。でもたまに俺のこと思い出して病めばいいよ。
俺ばかりがお前の事で頭いっぱいなのはフェアじゃねーから。
…佐久間のとこ、行かないで
「俺馬鹿だなぁ…っ!」
焦りがあったのかもしれない。
あの時、廊下で佐久間の話が聞こえてしまったから。
康二は俺のことが好きだから離れないって思ってたのに、そこにヒーローのように佐久間が現れてしまったら。
2人だけの世界へ連れ去っていったら。
俺は何も出来ずに立ち竦むだけの、負けヒーローだから。
だってだって
どう考えたって、
俺と一緒にいるより、佐久間と一緒に居る方が幸せになるに決まっているから
俺は康二の瞳に影を落としてしまう
その太陽みたいな笑顔を曇らせてしまう
そんな俺は、康二じゃないと照らされない
光を放てない
俺には康二しかいないのに。
…佐久間はきっと、康二の光だから。
これで良かったんだと言い聞かす事が出来るほど、まだ大人じゃない
「幸せの定義って人によって違うよ。康二の幸せは、康二が決める事」
…沈んでも沈んでもいい、それでもこの思いは加速するだけだから。
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ぷっちとまぁと(プロフ) - しょっぴー…口ついてるんやから、その美声で語りなさいよ( ; ; )読んでて胸痛いよ…しょっぴぃぃいい!!!でも、さっくんにも幸せになってほしい…(T . T) (9月4日 2時) (レス) @page47 id: 1fbb4a66fd (このIDを非表示/違反報告)
ふうり(プロフ) - たかシゲさん» そうなんですか!?めちゃくちゃ嬉しいです。ありがとうございます☺️こちらからするとその気持ちをそのまま康二に言えばいいんじゃ、、?と思うところもあって、もどかしいですよね💦どうかこれからもよろしくお願いします! (8月9日 1時) (レス) id: 99474a6beb (このIDを非表示/違反報告)
たかシゲ(プロフ) - 初コメント失礼致します!普段あまりコメントしないのですが思わず手が動いてしまうほど良いお話すぎて...どストレートなめめと不器用すぎるしょぴが切なすぎて🥺続きが本当に気になってしょうがないです!!更新頑張ってください!応援してます!! (7月14日 14時) (レス) id: 424c308bc6 (このIDを非表示/違反報告)
ふうり(プロフ) - KSさん» もしかして…更新停止する前からですかね!?ほんとすれ違いすぎて書いてて胸が痛いです、笑 ぜひこれからもこの作品をよろしくお願いします!!コメントありがとうございます!めちゃくちゃ励みになりました (6月22日 21時) (レス) id: 301f678093 (このIDを非表示/違反報告)
KS(プロフ) - 初めまして^^随分前から読ませて頂いております!こじ寄りのなべこじ担です。なんとも切ない展開に頭を抱えているのですが…(笑)2人には遠回りになっても幸せになってもらいたいと切実に願うばかりです(;_;)♡今後のどうなっていくのか楽しみにしております☻ (6月22日 2時) (レス) @page40 id: 870f64adfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふうり | 作成日時:2022年7月30日 20時