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あぁ… 少女漫画のヒロインにでもなった気分だ。
俺の右手を握って、人混みの中を掻き分けて走っていく。
左手に持っている急いで買ったケーキはきっと、ぐちゃぐちゃだけど、それでもこの瞬間以上に尊いものは無いと言える位、俺は幸せやった。
「康二、あと少しで俺ん家。スピードあげるぞ」
顔だけ後ろを向いて、ニヤリと口角あげたしょったに、同じ様に笑いかけて
「うん!!」
と言えば、風を切るようにキラキラと輝くクリスマスの道を走り抜けた。
___
しょったの家に着いた頃には、2人とも汗でびしょびしょで。ケーキは案の定ぐちゃぐちゃで元の形の欠片もなかった。
「あっははは!こんなにダッシュしたの久々なんだけど!」
そう言ってしょったは、声を出して笑い転げた。
これが幸せなんやと思う。俺は、こーゆーのを望んどった。
何度体を重ねても、愛も何も感じられんかった。
苦しかった。
ずっと、誰でもない、しょっただけに愛されたいと願っていた。
「ほんまに楽しかったなぁ、」
俺がそう呟けば、“ 汗だくだから、先お風呂行っといで“ とタオルと着替えを渡してきた。
それを受け取ると、お風呂場へ向かった。
… このまま、時間が止まればいいのに
2人きりの世界で、しょったとずっとずっと一緒に居られたらいいのに。
そんな事を思いながらシャワーを浴びて、交代でしょったが浴びに行くのを見届けて、ソファに座ってまったりしとった。
…永遠なんてないんやけどな。
知らぬが仏。ほんまにそうなのかも知れへん。
何度も何度も鳴り響くしょった君のスマートフォン。
痺れを切らして覗いてみれば、女の人の名前が書かれた通知で
“まだ?“
“ねぇ翔太早く“
“どこにいるの?“
そんな内容が見えてしまった。
深海にでも潜った気分やった。
…彼女?
でもしょったの恋人は俺やんな、、?
どう考え直しても、悪い方にしか考えられんくて、ドロドロと醜い何かが 俺の感情を支配する。
「なに。康二座ってぼーとしてただけなの?テレビとかつけて良かったのに。」
シャワーを終えたしょったがタオルで頭を拭きながら此方に近付いてくる。
上手く笑えへん。
不安で不安で仕方がない。
そのままスマートフォンに手を伸ばしたしょったは、暫くスマホを眺めてから
「…悪い、ちょっと電話」
と、部屋を出て言ってしまった
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ぷっちとまぁと(プロフ) - しょっぴー…口ついてるんやから、その美声で語りなさいよ( ; ; )読んでて胸痛いよ…しょっぴぃぃいい!!!でも、さっくんにも幸せになってほしい…(T . T) (9月4日 2時) (レス) @page47 id: 1fbb4a66fd (このIDを非表示/違反報告)
ふうり(プロフ) - たかシゲさん» そうなんですか!?めちゃくちゃ嬉しいです。ありがとうございます☺️こちらからするとその気持ちをそのまま康二に言えばいいんじゃ、、?と思うところもあって、もどかしいですよね💦どうかこれからもよろしくお願いします! (8月9日 1時) (レス) id: 99474a6beb (このIDを非表示/違反報告)
たかシゲ(プロフ) - 初コメント失礼致します!普段あまりコメントしないのですが思わず手が動いてしまうほど良いお話すぎて...どストレートなめめと不器用すぎるしょぴが切なすぎて🥺続きが本当に気になってしょうがないです!!更新頑張ってください!応援してます!! (7月14日 14時) (レス) id: 424c308bc6 (このIDを非表示/違反報告)
ふうり(プロフ) - KSさん» もしかして…更新停止する前からですかね!?ほんとすれ違いすぎて書いてて胸が痛いです、笑 ぜひこれからもこの作品をよろしくお願いします!!コメントありがとうございます!めちゃくちゃ励みになりました (6月22日 21時) (レス) id: 301f678093 (このIDを非表示/違反報告)
KS(プロフ) - 初めまして^^随分前から読ませて頂いております!こじ寄りのなべこじ担です。なんとも切ない展開に頭を抱えているのですが…(笑)2人には遠回りになっても幸せになってもらいたいと切実に願うばかりです(;_;)♡今後のどうなっていくのか楽しみにしております☻ (6月22日 2時) (レス) @page40 id: 870f64adfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふうり | 作成日時:2022年7月30日 20時