嫉妬とか独占とか愛情とか

橙の雪男は自信がない ページ29

向井side






ブーブーブー


部屋に響き渡るスマホの音で目を覚ます。


その瞬間に、腰に痛みが走って あぁ、また無意味な行為をしてしまったのだと実感すれば、恐る恐る横を見る。




「…やっぱりな」




分かってはいた。彼が横に居ない亊は。

毎度の事で慣れているはずなのに、ズキンと胸が痛くなる。




深い溜息をひとつ付けば、スマホを手に取り画面を見詰める。




佐久間康二!急でごめんね。クリスマスって予定もう入ってるかな?前後でもいいんだけど!!




クリスマス…そうか、もうそんな時期なんやな。

忙しなく過ぎる日々に精一杯で、そんな事も気付いていなかった。



クリスマスって何か予定入ってたかな…


ぼーとする頭で考えながら、ふっと机に目をやればいつもの置き手紙とグミが目に入った。




重い腰を上げて、便箋に手を伸ばして内容に目を通す。




「…そう思うなら、一緒に居ってってば、、」




いつも置き手紙は優しさが滲んでいて、変に遊ばれてるという訳ではない気がしてくるから余計にしんどい。



もしかしたら…？なんて淡い期待を抱いてしまうやんか。

…起きたら必ず隣に居ない時点で、答え何て出とるのに。




「25日、？クリスマスか。え？しょっぴから誘ってくれたって事でええんよね…？」




ほらまた、そんな事してくるから俺は彼の沼から抜け出せない。

しょっぴー無しでは生きていけへんよ。


彼にとったら俺はそこまでの存在では無くて、俺が居ても居なくても変わらへん毎日を過ごすとしてもな。





慌てて仕事のスケジュールを確認すれば、25日は午前中しか入っとらんかった。


スマホを開いて予定表に書き込もうとすれば、開いた画面には さっくんとのトーク画面が映し出されて、


あー、断らなあかんな。って申し訳なく思いながら、文字を打つ。








こーじさっくんごめんなぁ!その日は予定があって無理やねん。でも24日の夜とかなら空いとるんやけど、どう?





…しょっぴーとは、デートをしたことが無い。


割と付き合おうという話をしてから、時は経っているのに俺らがすることといえば、どちらかの家で お互いを求め合って行為をすることで。



めめと阿部ちゃんは付き合ってないのに、話を聞いとると俺らより全然カップルらしいことしとって。



実は寂しいとずっと思ってた。


だから俺は、少し浮かれとったんやと思う。

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